Build Insiderオピニオン:高岡大介(4)

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フリーランスに対する5つの誤解と、気を付けている点

2014年12月2日

フリーランスで働くとは? よくある誤解を解きながら、フリーランスという働き方について考える。

高岡 大介
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 フリーランスとして仕事をしている、というと「フリーランスって○○なんでしょ?」とよく聞かれます。

 ひと言にフリーランスといっても働き方は千差万別です。会社員でもさまざまな働き方が提唱されている今、フリーランスではなおさらです。本当に人それぞれで、とても一概にはくくれませんが、あくまで私の体験を通したフリーエンジニアの働き方についてまとめてみました。

1「フリーランスって、朝ゆっくり寝られていいよね。」

 皆さん、フリーランサーをニートか何かと勘違いしているのではないでしょうか。フリーであっても朝から働いています。

 7時前には子供に起こされるということもありますが、筆者の場合は貴重な朝の時間にやる仕事があります。それは、見積・請求書作成や経費処理、スケジュール調整といったどちらかというと事務的な仕事です。

 「朝の時間はクリエイティブなことに当てるべきだ」という話をよく聞きます。私も当初やってみたのですが、どうにもうまくいきませんでした。朝から何かを作り始めるとそのことに熱中してしまい、午後はいろいろな〆切りに追われるため、どうしても事務作業が滞りがちになってしまうのです。

 そこで、まだ余裕のある朝の時間に事務作業を行うようにしたところ、私にはこのスタイルがしっくりきたようです。

 ただこれは本当に人によりけりで、早朝からがっつり作る人もいれば、夜型の人もいます。そのあたりの時間配分を自由に調整できるのはフリーランスの魅力ではありますね。

 時間配分を自分で調整できるということは、裏を返せば誰も時間管理をしてくれないということです。自分でしっかりとコントロールしないとあっという間に詰んでしまうのでご注意を。

2「フリーランスって、自由に仕事できていいよね。」
3「フリーランスって、変な上司いなくていいよね。」

 これもよくいわれるせりふです。皆さん、フリーランサーをワンマン社長か何かと勘違いしているのではないでしょうか。ほぼ同じ内容なので、1つにまとめて回答します。

 当然、クライアントがいて、そこからお仕事をもらっているわけでして、ましてやクライアントのクライアントがいることも多く、その意向を無視して何でもかんでも好き放題できるわけがありません。

 ただ、会社員と大きく違うところは、仕事を選べる点です。やりたくない案件は受けなければいいんです。

 とはいえ、実際問題として、そんなことばかりもいってられません。いろいろな事情でやりたくない案件を受けざるを得ないこともあります。

 そんなときは取りあえず半年までの契約にしています。といっても、半年ごとにクライアントを変えろ、ということではありません。半年単位でクライアントとレビューを行い、契約内容を見直したり、継続する/しないなどを再確認したりした方がお互いにとって幸せだということです。双方納得して更新したければ2年でも3年でも続けることはあるでしょう。

4「フリーランスって、仕事とってくるの大変じゃない?」

 私の場合、幸いながら今までのところ、あまり苦労はしていません。これまでのお仕事でのつながりや、勉強会やコミュニティの紹介などでお声がけいただくことも多く、ありがたいことに特段営業はしたことがありません。

 今は特にエンジニア不足の状況で、エンジニアの売り手市場になっているのも要因の1つでしょう。しかし、もう1つの大きなポイントは、公開している実績があることではないでしょうか。

 外部の勉強会やコミュニティで発表したり、ブログやメディア、書籍で執筆したり、またはGitHubなどでオープンソースプロダクトに貢献するなど、外から見える成果があることはフリーランスのエンジニアにとって力になります。

 エンジニアにありがちなのですが、「自分のこの隠れた能力をきっと誰かが認めてくれるはず」と思っている人がたまにいます。隠れた能力は隠れたままです。誰も勝手に掘り起こしてはくれません。

 やり方はそれぞれだと思いますが、エンジニアにとっても公開されたポートフォリオは大切です。

5「フリーランスって、好きなこと仕事にできていいよね。」

 半分正解ですが、残念ながら半分間違いです。

 確かに好きな分野を仕事にはしているのですが、2の質問でも答えたように、何でもかんでも好き放題にはできません。

 これまでの回答を見ると、フリーランスって会社勤めとそんなに違いがないのでは? と思われた方もいるかと思います。実はそうなのです。特に私のような働き方は、自由な会社の社員とほとんど変わらないことも多いでしょう。

 では、なぜフリーランスを選んだのか?

 恐らく、これがいろいろと誤解されている根源なのかもしれませんが、「フリーランスは働き方の1つであって目的ではない」のです。

 大ざっぱにいうと、「好きなことを楽しく仕事して結果を出す」というのが私のモチベーションとなっていて、それを実現することを目指しています。フリーランスはそのために今採っている手段の1つでありゴールではありません。それが実現できるのであれば、場合によっては会社員に戻ったり、起業したりすることもあるでしょう。

 フリーランスだから好きなことができるとか、会社員だからできないとかは無駄に二項対立をあおるだけでナンセンスです。フリーランスにも会社員にもいろいろな働き方があるし、そもそも選択肢はそれだけではありません。もっと幅広い視点で、自分がやりたいことができる働き方をそれぞれが選択する、ということが大切なのではないでしょうか。

高岡 大介(たかおか だいすけ)

高岡 大介(たかおか だいすけ)

大手外資系企業でエンタープライズシステムの開発、国立研究所にてセマンティックWeb/オントロジー関連の研究に従事し、 技術顧問、開発、執筆、講演などITに関する仕事に広く携わる。

2015年より取締役 兼 最高技術責任者(CTO)として株式会社オープンウェブ・テクノロジーにジョインし、TechFeedを開発。Webフロントエンドだけでなく、バックエンド、インフラなどシステム全体に関わる。

AITC運営委員(エバンジェリスト)、Sencha UG共同運営者などのコミュニティ活動、 HTML5Exports.jp エキスパート、Build Insider オピニオンコラム執筆など。

 

※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第1回~第5回)のみ表示しています。
 連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。

1. 世界は驚きに満ちている

「現場のエンジニアとして、日常で感じたこと」をゆるく書くコラム連載スタート。

2. そのコードに意思はあるのか

コピペが何かと話題のいま、プログラマーにとってのコピペ問題を考える。

3. もっと自由な働き方があるんじゃない? 父親だって育児したい!

子供が産まれて育児に関わるようになった経験から、ITエンジニアの多様な働き方を考える。

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「あちら側」と「こちら側」。『Web進化論』から10年近くが過ぎようとしている中で、IoTによってネットとリアルの関係はどう変わろうとしているのか。

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