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ALM Essentials(4): ALMを支援するMicrosoftのツール群(オンプレミス型)

ALM Essentials(4): ALMを支援するMicrosoftのツール群(オンプレミス型)

Team Foundation Serverの機能概要と環境構築パターン

2016年6月23日 改訂 (初版: 2014/08/11)

自社イントラネット内などのオンプレミス環境で、アプリ開発のライフサイクルを全体的に管理できるALMツールとして、マイクロソフトのTFS環境を導入した場合の、ALM環境の全体像について解説する。

竹林 崇(Change the World!
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はじめに

 前回(第3回)最終回(第5回)までの3回は、ALM(アプリケーション・ライフサイクル・マネジメント)を支援する各ベンダーのツール、具体的には下記の3種類について紹介する。

 前回のVisual Studio Team Servicesに引き続き、今回はTeam Foundation Serverの仕組みについて簡単に紹介しよう。

マイクロソフトの提供するALM(Team Foundation Server)

図2 Team Foundation Server

以下は、本文中で解説しない、図内にある各省略語の補足説明(説明内容は前回と同じ)。

  • 「Dev」=開発者。「End User/Biz」=エンドユーザーやビジネスの意思決定者。「Ops」=運営担当者。「AnyOne」=それ以外の人。
  • 「Eclipse/CLI」=Eclipseやコマンドライン。「Team Explorer Everywhere」=Windows 以外のプラットフォームからTFSに接続するための機能。
  • 「Excel/PowerPoint/Feedback Client」=ExcelやPowerPointやFeedback Client。「Team Explorer」=Visual StudioからTFSに接続するための機能。
  • 「System Center」=システム管理プラットフォームのSystem Center
  • 「Web I/F」=TFS上のページなどのWebインターフェース。

 TFSで採用されている技術やソフトウェアの概要を以下にまとめる。

【Team Foundation Server】

  • バックログ管理: 顧客からの要求(ユーザーストーリー)などを管理する。
  • タスク管理: 作業項目などのタスクを管理する。
  • バグ管理: TFSは、RedmineTracなどのITS(Issue Tracking System: 課題管理システム)/BTS(Bug Tracking System: バグ管理システム)と同様に、アプリケーションを計画し、開発して、リリースするチームのためのプロジェクトマネジメントの機能を保有している。
  • バージョン管理
    Team Foundation Version Control(TFVC): TFSは「シェルブセット」というファイルの中間バージョンをソース管理リポジトリに保存できる。ソース管理リポジトリにあるので、他のユーザーがアクセスできる。また、ゲートチェックイン(=変更が正常にマージ&ビルドできる場合のみチェックインを受け付ける機能)に対応。
    Git: TFSは分散型バージョン管理システム(DVCS)に対応している。
  • 自動ビルド
  • 自動テスト
  • 自動デプロイ
  • リリースマネジメント: TFSはJenkinsなどのCI(継続的インテグレーション)、CD(継続的デプロイメント)、任意の承認タイミングで本番環境にデプロイできる継続的デリバリーの機能を保有している。
  • チャット: TFSは「Team Room」というチャットの機能を保有している。エディションによって利用可能。
  • テスト管理: TFSは要件やストーリー、バックログ項目に基づいたテスト計画に対応する機能を保有している。エディションによって利用可能。

 TFSの特徴を以下の表にまとめる。

項目 Team Foundation Server
導入までの時間 OSとTFSのインストールなどで半日程度
導入までの費用 OSとソフトウェアのライセンスが必要
メンテナンス 自分で管理
カスタマイズ 自由にカスタマイズ可能
ビルド 標準ではWindowsプラットフォームに限定されるものの、別途ビルドマシンを準備し、ビルドの際に利用するように設定することであらゆる言語に対応できる
機能追加 TFSのバージョンに依存(3カ月に1度、アップデートされる)
連携 ExcelやPowerPointなどのBizが利用しているツールと連携できる
日本語対応 UI(ユーザーインターフェース)も含めて全て日本語化されている
Team Foundation Serverの特徴

 上記の表の通り、TFSの強みはそのカスタマイズ性だ。Visual Studio Team Servicesでは3週間ごとの機能追加は自動的に反映され、それを除外する方法はなかったが、自分で環境を構築するTFSでは自由にカスタマイズが可能である。

 一方で、自分で環境を構築するため、導入コスト(導入までの時間、導入までに必要な費用)や運用コスト(導入後のサーバーやアプリケーションのメンテナンス)が高くついてしまう面もある。

 これらを鑑みると、TFSはVSTSを利用した後、ある程度自分たちで独自のカスタマイズをしたいチームに適しているといえる。

 次回はアトラシアンの提供するALMのツール群をご紹介する。アトラシアンはVSTSやTFSと違ってAll-in-Oneのツールではなく、複数のツールを組み合わせてALMを支援するツールを提供している。

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