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初めてのUnity開発【Unity 5対応】(1)

初めてのUnity開発【Unity 5対応】(1)

Unity入門 ― 何が作れるか? ライセンス/料金、開発に有利な特長

2017年2月1日

ゲームエンジン「Unity」で何が作れるのか? 無料版を含めてライセンス体系や料金はどうなっているのか? Unityで開発するメリットは何なのか? これからUnity開発を始めようと考えている人に向けてUnityの概要を分かりやすく解説。

室星 亮太
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 Unityに関する説明で次のようなものを見かけることがある。

  • 初心者でも簡単にゲームが作れる
  • 短期間でゲームが作れる
  • 大規模なソーシャルゲームが作れる
  • ハイクオリティな映像作品やゲームが作れる

 筆者は一つ一つに関しては正しいと思う。しかし、「Unityを使えば、初心者でも短期間で大規模なハイクオリティな映像のソーシャルゲームが作れる」というのは間違いだと強く主張したい。

 銀の弾丸は存在しない。初心者でもゲームが簡単に作れるのは事実だが、大規模なソーシャルゲームや美麗な映像のゲームを作るのは簡単ではない。

 開発ツールの正しい用途、その使い方、そしてできることを正しく把握することは大切である。そこで本稿では、初めてUnityに触れる人がUnityを正しく理解できるよう、(2017年1月時点の)Unityの概要を簡単に紹介する。

Unityとは?

 Unityは、iOS、Android、Windows、macOS、Web、Nintendo 3DS、PlayStation 4、PlayStation VR、HoloLensなど多くのプラットフォームに対応したゲームエンジンだ。

 国内で人気のモバイルゲーム(白猫プロジェクトやドラゴンクエストVIII)、世界的に人気があるキャラクターのモバイルゲーム(スーパーマリオ ラン)、世界的なブームとなった位置情報を活用したモバイルゲーム(Pokémon Go)など、多くのモバイルゲームがUnityで開発されている。有名企業・大企業だけでなく、個人開発者やスモールチームもUnityでゲームを開発し、そのゲームがアプリストアの注目ゲームになっていることもある。また、モバイル向けゲームだけでなく、PC・家庭用ゲーム機向けのゲームもUnityで数多く開発されている(家庭用ゲーム機に関しては企業とのライセンス契約などを結ぶ必要があるものが多い)。

 VRやARでもUnityは活躍している。2016年7月には「Unity VR EXPO AKIBA」というイベントが開催された。Unityは多くのVR/ARプラットフォームに対してネイティブサポートしている。詳細は公式ページの「VR/AR向けUnity」の説明を確認してほしい。

 またUnityの活躍はゲームだけにとどまらない。建築、医療、映像、教育などのさまざまな分野で活用されている。2014年・2015年には、非ゲームでのUnityの活用に関する大規模イベント、Unityソリューションカンファレンスが開催された(2014年2015年)。非ゲーム分野の読者の中には、最近予約注文が開始されたHoloLensをきっかけに、Unityに興味を持たれた方も多いのではないだろうか?

Unityのライセンス形態と料金体系の変更

 Unityのライセンス形態や料金体系は何回か変更されている。以前、無料版のUnityではAndroid/iOS向けにビルドできなかったが、本稿執筆時(2017年1月上旬)では無料版(=Personalプランのライセンス)でもAndroidやiOSをはじめ多くのプラットフォーム向けにビルドできる。『以前Unityを調べたけれど、最近興味がまた出てきた』という読者は一度公式ページ(図1)で自分に合った料金体系を再確認することをお勧めする。

図1 Unityのプラン表の一部

なお、画像内の料金表示は執筆時点のもので、現時点で変更されている可能性があるので、必ず公式ページを確認してほしい。

 筆者が考える料金体系のポイントを以下に示す。

  • Personal(無料)、Plus、Pro、Enterpriseという4つのプラン
  • Unityのゲーム開発で用いる機能は、どのプランでも利用可能
  • PersonalとPlusは利用可能なユーザーの制限あり(収入や資本ベース)
  • サブスクリプションがメイン(永続ライセンスを意味するPay-to-Ownオプションもある)
  • プランにより、後述するUnity Servicesでの利用回数などが異なる
  • 以前あったAndroid ProやiOS Proはなくなった

 また、現在のUnity 5系のナンバリングが5.6(2017年3月リリース予定)で終わり、次のメジャーバージョンがUnity 2017(2017年4月に最初のベータ版をリリース予定)となることも2016年12月に発表された(参考)。

イベントが数多く行われているUnity

 ユーザー数が多い、聞ける人が多い、質問できる場所が多い、というのはUnityの強みの一つだと筆者は考える。

 「書籍を読んだけど、次はどうしていいか分からない」という読者は、勉強会などのイベントに足を運んでみることをお勧めする。Unity公式サイトの「Unity県人会議」(図2)では、数多く開催されているUnity関連のイベントを確認できる。

図2 Unity県人会議のページ

 Unity大規模カンファレンスの「Unite」をはじめさまざまなイベントがあるが、筆者のおすすめイベントは「Unity道場」だ。ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの社員の方が講師となり定期的に開催されているこのイベント。セッションの発表内容は毎回素晴らしく、質問や相談ができる「なんでも相談所&もくもく会」が開かれることもある。機会があればこれを活用することを強くお勧めする。主に東京で開催されるが、京都や札幌などで規模を拡大したスペシャル版が開催されることもある。

 オンラインでは、Facebookの「Unityユーザー助け合い所」や「Unityユーザー雑談所」、SlackのUnityのコミュニティなどがあり、意見交換・アドバイスがなされている。

 筆者が運営メンバーをしている「日本アンドロイドの会 Unity部」も定期的にイベントを開催しているので、もし興味があれば参加してほしい。

Unityでの開発を加速させるAsset StoreとUnity Services

 Unityを用いた開発になくてはならないのが「Asset Store」だ。Asset Storeアセットストア)は、3Dモデル、画像、音楽や機能ごとのコードライブラリなど、さまざまなアセットを販売・配布しているUnity公式のサイトだ。サウンド制作や3Dモデリングなどを行うメンバーがいない開発チームの心強い味方である。

 また、モバイルゲームをはじめ近年のゲームの開発は、作って終わりではない。ユーザーの行動を分析し、それを基に適切な改善を行うことが求められている。そのためには継続的なプロジェクト管理とビルドは必要不可欠だ。また、アプリ内課金に関しては深いネイティブプラットフォームの知識が必要である。このような難しい課題の助けとなるのが「Unity Services」だ。Unity Services(Unityサービス)の詳細はUnity公式のサイト(図3)を確認してほしいが、その一例を挙げると次のようなものがある。

  • Unity Ads(動画広告)
  • Unity Cloud Build(CIビルド)
  • Unity Analytics(ユーザー行動分析)
  • Unity Collaborate(プロジェクトバージョン管理。現在Beta)
  • Unity IAP(アプリ内課金)

 一部、プラットフォーム限定の機能もあるが、これらのサービスはUnityの開発を通して成功を収めるための大きな助けとなるだろう。

図3 Unity Servicesの機能

なお、画像内のサービス群は執筆時点のもので、現時点で変更されている可能性があるので、必ず公式ページを確認してほしい。

まとめ

 簡単にではあるが2017年1月時点でのUnityの概要を紹介させていただいた。

 ライセンス形態の変更や機能の改善・追加など、日々、Unityでの開発は変化・進化をしている。

 この記事をきっかけに1人でも多くの方にUnityに興味を持っていただければ幸いである。

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