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特集:Windows&.NET開発者のためのスタートアップ起業術

特集:Windows&.NET開発者のためのスタートアップ起業術

スタートアップ企業にマイクロソフト製品の開発ライセンスが無償提供されるBizSparkプログラム活用のススメ

2013年6月17日

「Windowsを使いたい」「C#を使いたい」などのニーズが強いスタートアップ企業なら、マイクロソフトのBizSparkプログラムを検討しよう。実際の利用者がその活用ポイントを説明する。

株式会社グラニ 河合 宜文
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 スタートアップ企業(=本稿では、「創業して5年未満の小規模な企業」を指す)にとって最大の課題は、資金の確保(=主に初期投資のコストカット)だろう。実際に「Windowsはお金がかかるから」という理由で、「アプリケーションの構築に、いわゆるLAMP(Linux+Apache+MySQL+PHPなどの開発言語)環境を用いる」という話もよく耳にする。しかし、開発生産性や、運営の手間、習熟しているスキルなどを考慮すると、「Windowsを使いたい」「C#を使いたい」などのニーズが強いスタートアップ企業も少なくないはずだ。

 筆者が所属する株式会社グラニは、去年の9月に立ち上げたばかりのスタートアップ企業だが、そういうニーズを持った企業の1つだった。起業後すぐに、マイクロソフト製品を低コストでそろえるために、「BizSpark」を利用した。これは、スタートアップ企業や個人事業主向けにマイクロソフトが提供している、マイクロソフト製の開発用ソフトウェアを無償で利用できるプログラムだ(筆者の場合は、開発のためのVisual StudioやOfficeなどを無償で利用することができた)。筆者の会社では、1カ月ほどでその条件を超える事業規模となったため、その時点でBizSpark会員からは外れたが、後進のスタートアップ企業の参考になるよう、この記事を執筆することにした。

 BizSparkは以下の条件を満たしていれば、申し込める。

  • 会社の事業の核をなすソフトウェアベースの製品、および、オンライン・サービスの開発を積極的に推進している会社
  • 非上場
  • 設立5年未満
  • 年間売上が1億2千万円未満
  • オリジナル・ドメインの自社ホームページを所有し、事業概要、貴社のビジネス(=貴社製品、オンライン・サービスなど)が確認できること。また、契約期間中は、貴社ホームページ、および、BizSparkメンバー・サイトのプロファイル情報を最新の状態に維持すること

 このように条件としては厳しくなく、自社ホームページを用意すれば、簡単に満たすことは可能だろう。

 申し込みのプロセスも簡単で、入力フォームから申請の情報を入力して申し込めば、数日のうちに審査結果が受け取れる。承認されれば、MSDNサブスクリプションのダウンロード・ページから、ソフトウェアのダウンロードが可能だ(次の画面を参照)。

 提供されるライセンスはVisual Studio Ultimate with MSDNで、それにはVisual Studio 2012やWindows Server、SQL Serverといった開発系のソフトウェアのほかに、Microsoft Officeといったものも含まれる。また、BizSparkにはMicrosoft Azure(旧称:Windows Azure)のリソース、年額53万9756.75円分も含まれている。Azureの利用に関してはMicrosoftのテクノロジーに限らず、OSや言語を選ぶことが可能なので、Microsoftのテクノロジー・スタックを採用しない企業にとっても、メリットのある話だろう。

 ほかにも、BizSparkのWindows ServerやSQL Serverのライセンスは、Amazon Web ServiceのEC2に持ち込んで利用できる。詳しくは「Amazon Web Services ブログ - 【AWS発表】 Microsoft BizSparkのライセンスをAWSクラウドで使用可能に」を参照するとよいが、これにより、Linux/UNIXインスタンスと同じ価格で、Windowsインスタンスを利用することが可能だ。

 こういったBizSparkの多種の特典により、スタートアップ企業にとっては、LAMPスタックを採用するのと同じコストで、Windowsテクノロジーを利用することができる。

学生向けプログラム

 また、教育機関・学生向けには、「DreamSpark」というプログラムが提供されているので、これについても簡単に紹介しておこう。

 提供されるライセンスはBizSparkとは若干異なるが、Visual StudioやSQL Serverなど開発系のソフトウェアはBizSpark同様に無償で提供される。また、有償登録が必要なWindowsストア・アプリの登録も無償で行える。

 従来は高等教育機関(=大学、高等専門学校、専修学校、専門学校)が対象であったが、2013年7月1日以降は、範囲が拡大され、初等中等教育機関(=小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)も申請可能となった。小学校や中学校のころからアクティブにプログラミングを行う人も少なくない昨今なので、この提供範囲拡大は待ち望まれていた話だ。

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