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Windowsエクスプローラー特殊Tips【5選】 ― 開発者/クリエイターにおすすめ

2017年6月16日

特に便利なエクスプローラーTipsを5つ厳選して紹介。「.」で始まるファイルの作成。カレントパスでコマンドプロンプト/PowerShell起動。管理者モードで起動。ファイルのフルパス取得。よく使うフォルダーをアドレスバーから素早く開く。

デジタルアドバンテージ 一色 政彦
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 今回は小ネタを記事にした。コーヒーブレーク時など休憩時の暇つぶしに軽く読んでもらえるとうれしい。

 Web制作やコーディングをWindows上で行う際、特にIDEを使う場合は、コマンドラインではなくWindowsエクスプローラー(以下、単に「エクスプローラー」)を使って作業することもよくあるだろう。そんなときに「エクスプローラーでこんなことができるのか」という、あまり知られていない(あるいは忘れられている)けれども、使うと便利な機能がいくつかあるので、あらためて記事としてまとめてみた。

 なお、本稿の執筆ではWindows 10 Pro(バージョン1607)を使用している。環境の差異により挙動や外観に違いがある可能性もあるので、あらかじめご了承いただきたい。また、筆者のやり方を手順として書いているが、他にもさまざまな手段や手順で実行できる可能性もあるので、その点もご了解いただきたい。

1「.」で始まる拡張子なしのファイルを作る

 最近では、例えば「.gitignore」ファイルなど、「.」で始まる拡張子なしのファイルをWindows上で作る機会が増えてきた。コマンドプロンプトならtype nul > .filename、PowerShellならni .filename -type fileのようなコマンドの実行でファイルを新規作成できるが、エクスプローラーではどうすればよいのだろうか?

 素直に新規のテキストファイルを作成して、そのファイル名を「.filename」のようにリネームしようとすると、「ファイル名を入力してください。」と怒られてしまう(図1)。

図1 「.」で始まる拡張子なしのファイル名にはリネームできない
図1 「.」で始まる拡張子なしのファイル名にはリネームできない

 このエラーを回避してファイルを作るには、単にファイル名の最後に「.」を付けて、拡張子部分が「ない」状態で指定すればよい。つまり、

  .filename.

という名前に変更すればよいわけだ。ファイル名の変更が完了すると同時に、エクスプローラー上で最後の「.」が自動的に消えて「.filename」というファイル名になる(図2)。

ファイル名の最後に「.」を付ける

ファイル名の最後に「.」を付ける

最後の「.」は消えてファイルが作成される

最後の「.」は消えてファイルが作成される

図2 「.」で始まる拡張子なしのファイルを作成する手順

2カレントパスを指定してコマンドプロンプトやPowerShellを開く

 エクスプローラー上でファイルを操作中に、コマンドプロンプトやPowerShellを起動して、そのファイルがある現在のフォルダーのパス(以下、カレントパス)に移動したいことがよくある。そんなとき、コマンドプロンプト/PowerShellを起動してから、わざわざcd <カレントパス>コマンドを実行していないだろうか? そうなら、あなたは少し時間を無駄にしている。

 カレントパスを指定してコマンドプロンプトを起動するには、エクスプローラーのアドレスバーにcmd(もしくは拡張子付きでcmd.exe)と入力し、Enterキーを押して実行すればよい(図3)(ただし、こうやって起動すると、プログラムメニューなどから起動する普段のコマンドプロンプトと設定が少し異なる可能性があるので、その点を留意しておいてほしい)。

図3 カレントパスを指定してコマンドプロンプトを起動する手順
アドレスバーに「cmd」と入力して[Enter]キー

アドレスバーに「cmd」と入力してEnterキー

最初からカレントパスが「C:\Explorer」のコマンドプロンプトが起動

最初からカレントパスが「C:\Explorer」のコマンドプロンプトが起動

図3 カレントパスを指定してコマンドプロンプトを起動する手順

 同じ要領で、PowerShellの場合はpowershell(もしくは拡張子付きでpowershell.exe)を入力して実行すればよい。

 また、エクスプローラーの右ペーンを[Shift]キーを押しながら右クリックメニューを出すと、[コマンド ウィンドウをここで開く]というメニュー項目が表示されるので(図4)、これをクリックして実行しても、同様にカレントパスでコマンドプロンプトを起動できる。ちなみに筆者はWindows 10のバージョン1607で試したが、バージョン1703で試した環境では[PowerShell ウィンドウをここで開く]というメニュー項目に変更されている(という報告があった)ので、この場合は、カレントパスでPowerShellを起動できるということになる。

図4 カレントパスを指定してVisual Studio Codeを起動する手順
図4 メニュー項目[コマンド ウィンドウをここで開く]

 コマンドプロンプト/PowerShell以外に、Visual Studio Codeでも同様のことを実現したいという人もいるだろう。Visual Studio Codeはcodeコマンドで起動できるが、残念ながら上記と同様の手順では実現できなかった。代わりに、できるだけ近い方法で実現するには、

  • エクスプローラーのアドレスバーからcmd /c code .コマンド(最後の「.」を忘れないように注意)を実行する

という手順を踏めばよい。また、エクスプローラーの右ペーンの右クリックメニューに[Open with Code]というメニュー項目が(基本的に)追加されているのでこれを実行してもよい。

3管理者モードでコマンドプロンプト/PowerShellを開く

 「カレントパスを指定してコマンドプロンプトやPowerShellを起動できるのはいいけど、管理者モードで起動したい」と思った人もいるのではないだろうか。これも不可能ではない。ステップ数は増えてしまうが図5のように、

  1. AltFキーで、エクスプローラーの(リボンにある)[ファイル]メニューを表示
  2. コマンドプロンプトならMキー、PowerShellならSキーを押して、サブメニューを開く
  3. サブメニューでAキーを押して、コマンドプロンプト/PowerShellを管理者モードで起動する

という手順を実行すればよい。ちなみに図5に示すとおり、メニュー項目に対応するキーが表示されるので、手順1のキー以外は覚える必要はない。筆者が試したWindows 10のバージョン1607ではこのように表示されたが、バージョン1703で試した環境では[コマンド プロンプトを開く]というメニュー項目はなくなり、PowerShellのみに変更されている(という報告があった)。環境によって表示内容などが異なるので、適宜読み替えてほしい。

コマンドプロンプトなら[M]キー、PowerShellなら[S]キーを押す

コマンドプロンプトならMキー、PowerShellならSキーを押す

サブメニューで[A]キーを押す(コマンドプロンプト)
サブメニューで[A]キーを押す(PowerShell)

サブメニューでAキーを押す

図5 カレントパスを指定して管理者モードでコマンドプロンプト/PowerShellを開く手順

4ファイルのフルパスを取得する

 フォルダー名とファイル名を合わせたフルパスをプログラミングで使うことはよくある。そんなフルパスをエクスプローラーで簡単に取得できるのを知っているだろうか? フルパスはコンテキストメニューから取得できるが、通常はそのメニュー項目が表示されていないので、気付いていない人も少なくないだろう。

 そのメニュー項目が表示されたコンテキストメニューを出すには、

  • エクスプローラー上のファイル項目を、Shiftキーを押しながら右クリック

する必要がある。こうすると、[パスのコピー]というメニュー項目が表示されるので(図5)、これをクリックして実行すればよい。

図5 ファイルのフルパスを取得する手順
図5 ファイルのフルパスを取得する手順

 なお、図5の例では"C:\Explorer\.filename"というフルパスが取得できる。

5よく使うフォルダーをアドレスバーから素早く開く

 次は、標準機能ではなく、Windowsの機能を組み合わせた応用的なTipsになる。

 エクスプローラーでは、アドレスバーにWindowsの環境変数を指定することで、対応するフォルダーを開けることは知っているだろう。例えばユーザーごとのアプリケーションデータが格納されている%appdata%は、よく使っているのではないだろうか(「よく分からない」という場合には、アドレスバーに%appdata%を入力してEnterキーで実行してみてほしい)。このような環境変数には、主に表1のようなものがある。

環境変数 開かれるフォルダー(基本的な例)
%SystemDrive% もしくは %HomeDrive% C:\
%WinDir% もしくは %SystemRoot% C:\Windows
%HomePath% C:\Users\<ユーザー名>
%AppData% C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming
%LocalAppData% C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local
%Temp% もしくは %Tmp% C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Temp
%Public% C:\Users\Public
%ProgramFiles% C:\Program Files
%ProgramFiles(x86)% C:\Program Files (x86)
%CommonProgramFiles% C:\Program Files\Common Files
%AllUserProfile% C:\ProgramData
%OneDrive% C:\Users\<ユーザー名>\OneDrive
表1 Windowsの主要な環境変数

大文字・小文字はどちらでもよい。
実際に得られるフォルダーはユーザーの環境ごとに異なるので注意してほしい。

 この環境変数は、ユーザーも自由に作成できることを思い出してほしい。これを応用すれば、自作の環境変数を使って、指定のフォルダーに素早くアクセスできるようになる、というわけだ。試しに%exp%という自作の環境変数を使って、C:\Explorerフォルダーにアクセスできるようにしてみよう。

 まず環境変数を作成する。手順は図6に示すとおりである(Windows 10のバージョン1607の場合。バージョン1703では[システム]からは、コントロールパネルではなく、UWP版の[設定]アプリが起動される。[設定]アプリが起動した場合は、検索ボックスに「環境変数」などと入力すると、[環境変数]ダイアログを開ける)。

Windowsの[スタート]メニューの右クリックメニューから[システム]をクリック

Windowsの[スタート]メニューの右クリックメニューから[システム]をクリック

表示されたウィンドウの左側にある[システムの詳細設定]をクリック

表示されたウィンドウの左側にある[システムの詳細設定]をクリック

表示された[システムのプロパティダイアログ([詳細設定]タブ)の[環境変数]ボタンをクリック

表示された[システムのプロパティダイアログ([詳細設定]タブ)の[環境変数]ボタンをクリック

[<ユーザー名>のユーザー環境変数]欄の[新規]ボタンをクリック

[<ユーザー名>のユーザー環境変数]欄の[新規]ボタンをクリック。
表示されたダイアログに、前述の環境変数の情報([変数名]:「exp」、[変数値]:「C:\Explorer」)を入力して[OK]ボタンをクリック

[変数]と[値]が正しく設定されたこと(「exp」環境変数の値が「C:\Explorer」であること)を確認

[変数]と[値]が正しく設定されたこと(「exp」環境変数の値が「C:\Explorer」であること)を確認して、
[OK]ボタンをクリックすれば環境変数の自作は完了。

最後に[システムのプロパティ]ダイアログの[OK]ボタンをクリックして閉じる

図6 環境変数の設定手順

 それでは、実際に%exp%という環境変数でC:\Explorerフォルダーを開けるかを試してみよう。

アドレスバーに「%exp%」と入力して[Enter]キーを押す

アドレスバーに「%exp%」と入力してEnterキーを押す

「C:\Explorer」フォルダーが開かれた

「C:\Explorer」フォルダーが開かれた

図7 頻繁にアクセスするフォルダーを、独自の環境変数で開く手順

 図7のように実行される。よかったらぜひこのTipsも活用してみてほしい。

 以上、筆者がよく使うものを中心に、エクスプローラーTipsを5つ、厳選して紹介した。これが皆さんの作業効率に寄与できれば筆者としてうれしい。

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