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Build Insiderオピニオン:長沢智治(1)

Build Insiderオピニオン:長沢智治(1)

ビジネスとソフトウェア、そして現場

2014年5月20日

ソフトウェアの最新動向と現場について時には厳しく、時にはおちゃらけて等身大で語るコラム連載スタート。

アトラシアン 長沢 智治
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ビジネス戦国時代

 今のビジネスにとって ICT(Information and Communication Technology) のチカラを積極的に活用することは不可欠になってきている。この流れ自体は何も今はじまったわけではなく、数年前より加速されてきている。例えば、Forrester Research では2007年に「IT から BT (Business Technology)」を定義したように、技術がビジネスに与える影響は無視できなくなってきている。言い換えれば、技術と如何にうまくつきあっていくかがビジネスの正否を分けるとも言える。

ソフトウェアの価値

 従って、ソフトウェアの価値は高まることになる。もちろん、それだけ、質も問われ、市場投入も適切である必要がある。これは、ソフトウェアの開発の現場の今までのペースをビジネスが待ってくれないことを示している。利害関係者もより広くなるのは言うまでもない。価値が高まればそれだけ広く高い意識を持つこと、開発プロセスの見直しや、ワークスタイルの変革も伴うこととなるだろう。

 例えば、A/B テストの実施、スタートアップ企業での試行のプロセスには、技術が不可欠であり、その結果から学び、ビジネスモデルの構築や変更、はたまた顧客の開発に着手することが求められる。そのビジネス戦国時代に、武器であるソフトウェアが間に合わない、そぐわないものでは、戦いに勝てる理由が見当たらなくなってしまう。

現場の準備と振る舞い

 ソフトウェア開発の現場は、今までと同じでいいのか、見つめ直すことをお勧めする。これは何もすべてを変えてくださいということではない。自分たちの価値、強み、弱みを理解した上で、これからの時代のソフトウェアとその開発、そして現場を見つめ直し、準備とソフトランディングを勧めたい。

 現場の改善は、一朝一夕にはできない。人は変わるために1年以上の歳月を要するのだ。ある日突然やり方を変えられるわけではない。待ったなしの状況になったときに、準備を始めては、他のソフトウェアやソフトウェア開発ベンダーに遅れを取ることになる。すなわち、その現場のソフトウェア開発事業の「死」に直面するかもしれないということだ。そう、ビジネスが戦国時代ならば、ソフトウェア開発の現場も戦国時代なのだ。戦国時代だからといって殺伐としている必要はまったくない。正しいものを正しく作ること、それが正しいと示せることを自信を持って実践できるそんな現場であれば、ビジネスと技術の最新動向に追随することはできるであろう。

 なぜならば、そこには現場のチームやチーム間での協調が成立しているはずだからだ。DevOps やアジャイルなプラクティスをひも解く上でもとても大切なキーワードの一つが「協調」であると私は思っている。

このコラムの位置づけ

 このコラムでは、ソフトウェアの最新動向を追い続けてきたとあるエバンジェリストが最新動向と現場について時には厳しく、時にはおちゃらけて等身大で書いていこうと思う。

  • ビジネスとソフトウェア
  • ソフトウェアと現場
  • 現場とプラクティス

について、時には大きな視点から、時には小さな事柄にフォーカスしてできるだけわかりやすく書いていこうと思う。目標は「誰が読んでも正しい情報が得られるコラム」ではなく、「ひとつのたたき台として気づきやディスカッションのネタになるコラム」だ。よって皆さんからのフィードバックが命綱となる。どうか忌憚のないフィードバックをいただきたい。よろしくお願いします。

長沢 智治(ながさわ ともはる)

長沢 智治(ながさわ ともはる)

 

革新的なビジネスモデルでソフトウェアデリバリーを実践し続けるアトラシアン株式会社のエバンジェリスト。

ソフトウェア開発のライフサイクル全般を経験したのちに、日本ラショナルソフトウェア、日本アイ・ビー・エムなどでプロセス改善コンサルティングに従事。2007年より7年間、マイクロソフトのエバンジェリストを務め、2014年1月よりアトラシアンで初のエバンジェリストとして活動中。

 

※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第1回~第5回)のみ表示しています。
 連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。

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ソフトウェアの最新動向と現場について時には厳しく、時にはおちゃらけて等身大で語るコラム連載スタート。

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2. ビジネスは変わった、ソフトウェアはどうか?

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