Build Insider Survey【2014年4月実施】
今後ますます勢いを増す「開発技術&ツール」を調べてみた
開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術を、ランキング形式で発表。2014年度前半はこれらに注目しよう。
「今、本当に人気がある『JavaScriptライブラリ&ツール』を調べてみた」では、JavaScriptライブラリ/ツールの人気テクノロジについて紹介した。本稿は、同じ(自記式)アンケート調査を基にした記事で、「デバイス」「スマートフォン」「IDE」など、より幅広い開発技術やツールについて「本当は何が人気なのか」を明らかにする(※ちなみに、本稿と同じ質問内容のアンケート調査を毎年4月と10月に実施予定である。この定点観測により、技術トレンドの推移を浮き彫りにしたいと考えている)。なお「Web」に関しては、前掲の記事内に含めたので、本稿では割愛する。
さっそく人気技術のランキングをジャンル別に紹介していこう。
- 実施期間: 3月31日~4月18日
- 総回答数: 230件 (各質問における有効回答数は、各グラフ画像上の「回答数」を参照)
- 回答者属性: 本稿の末尾を参照
開発技術全体の動向
まずは、どういった技術領域の人気が高いかをチェックしよう。
技術領域の人気傾向
本アンケート調査では、開発領域を大きく下記の4種類に分けた。
- 1スマートフォン/タブレット開発
- 2Web制作/Webデザイン/Web開発
- 3次世代デバイス開発(KinectやLeap Motion、Oculus Rift、Arduinoなど)
- 4Windows/Macデスクトップ開発
人気が高いのはスマートフォンとWebの開発で、それぞれ7割程度の開発者が興味を持っている。一方、次世代デバイスやデスクトップは5割程度で少し伸び悩んでいる。
スマートフォン/次世代デバイスの開発技術
スマートフォン開発技術
iPhone/Androidが登場して以来、スマートフォン開発は依然として人気が高いようだが、ここ最近の変化としてネイティブアプリ開発をObjective-C/Java言語ではなく、C#やHTML5/JavaScript言語などを使ってクロスプラットフォームで開発するケースが増えてきており、実際に人気が高まっているようだ。
- 「その他」の具体的な内容例: 「Titanium Mobile」「Cocos2d-x」「Haxe」「Qt」など。
各開発技術が拮抗(きっこう)している状況で、現時点ではまだ勝負がついていない印象を受ける。なお、ここ最近は、マイクロソフトによるプッシュもあり、「Xamarin」が少し勢いづいているように筆者は感じている。
デバイス技術
KinectやGoogle Glassなどが、経済系のテレビニュースなどでよく取り上げられる影響なのか、次世代型デバイス技術の人気も徐々に高まってきている。
次のグラフに示すように、上記の3つはいずれも5割程度の開発者が「今後、使用したい」と回答しており、それぞれ同程度に注目度が高い。
- 4位以降の順位: 「Leap Motion」「Arduino」「Android Wear」「Oculus Rift」。
- 「その他」の具体的な内容例: いくつか回答があったが、その中でも特に「Windows Phone」の人気が高かった。
各種アプリを支える技術&ツール
クラウドプラットフォーム
クラウドプラットフォームとしては、主要な3つに、国内の1つを加えた、下記4項目で調査した。
- 「その他」の具体的な内容例: 特に「Heroku」「DigitalOcean」、次に「NIFTY Cloud」「SoftLayer」に回答が集まった。
AWSが7割超えと一強だが、Microsoft Azure(旧: Windows Azure)も58%と猛追してきている。ちなみにAzureは、「Webサイト」というPaaS機能が秀逸で、従来のPaaS型サービスである「クラウドサービス」の欠点を補いつつ、新しい方向に進化してきている(マイクロソフト社内の開発者自身も、心は完全に「Weサイト」に移っている状況なので、知らない方は知っておくとよい)。
いずれにしてもクラウドプラットフォームはまだまだ激しい競争が続きそうである。
データベース/ストレージ
データベース/ストレージの利用意向は、以下の通りだ(上位6つ)。
驚いたのは、上位に並ぶ主要RDBMSに混じって、ドキュメントデータベースの「MongoDB」と、Key-Valueストアの「Redis」が食い込んだことだ。RDBMSしか触ったことがない人は、これらをぜひ押さえておくべきだろう。
IDE(統合開発環境)/開発者向けテキストエディター
IDEやエディターの中では、主に以下のものの人気が高かった(上位4つ)。
特にVisual StudioとIntelliJ IDEAは人気が高いようだ。また、Visual Studioの利用者の6割が「ReSharperプラグインを今後利用したい」と答えている。
テキストエディターの中では、Sublime Textが一定の人気を得ている(※自由回答で「Vim」が多かったので、これを選択肢に入れておいた場合、もしかしたら順位がもう少し変わる可能性がある)。
- 5位以降の順位: 「Xcode」「Xamarin Studio」「Eclipse」「PhpStorm」「Emacs」。
- 「その他」の具体的な内容例: 特に「Vim」、次に「Atom」「Light Table」「NetBeans」「RubyMine」などが多かった。
Build Insiderへのフィードバック
このアンケート調査を通じて、Build Insiderが実施するイベントのテーマや、サイトに対するご意見を伺ったので、ここで簡単にご紹介したい。
Build Insider MEETUPイベントテーマ
Build Insider MEETUPとは「あの筆者に会えるイベント」というコンセプトで開催している勉強会で、「Leap Motion」と「.NET Week スペシャル」というテーマで2回開催している。今後も同様のイベントを、機会を見て実施したいと考えているが、どのようなテーマで実施するかの参考にさせていただくための質問を設けてみた。その結果は以下の通り(上位4つ)。
- 1【チーム管理/プロジェクト管理関連】Git&GitHub
- 2【HTML5/Java Script/CSS関連】TypeScript
- 3【クラウド関連】Windows Azure
- 4【IDE関連】IntelliJ IDEA
Build Insiderへのコメント
「Build Insiderへのご意見・ご希望などがあれば、具体的にお聞かせください」という質問で、多くのコメントをお寄せいただいた。まずはこれについて感謝したい。ここでは全てを紹介しないが、コメント内容は、サイトのUIデザインに関するアドバイスや、記事コンテンツやイベント開催への期待や感謝など、多岐に渡っていた。
その中で、「1ページの記事が長いものや短いものがあるので、複数ページに分割するルールがあった方がよい」というご意見があった。筆者自身の場合は、ページ分割されている記事の次ページへの遷移が面倒なので、「AutoPagerize」という拡張機能でページを自動連結させているぐらいなので、「ページビュー数を無理に稼ぐ必要がなければ、わざわざページ分割する必要はない」という考えに基づき、Build Insiderでは1記事を複数ページに分けてこなかった。もし今後、複数ページに分けるとするなら、2500字前後を目安にすることになるが、現状では基本的に長すぎる記事(例えば7500文字以上)は「(ページではなく)回を分ける」というルールにしている。ただし「記事ごとに最適な長さは異なる」と考えており、例えば「Web開発でよく使う、特に使えるChromeデベロッパー・ツールの機能」という記事では、「機能ごとに別ページにするよりも、1ページで全ての機能解説を網羅したページ構成にした方が、ページ内の検索のしやすさなど、読者の利便性が高まる」と考えて、1ページにまとめている。しかし「分割してほしい」というニーズがあることも分かったので、次回のアンケート実施時に、ページ構成に関する質問を加え、その結果に基づいて今後の方針を検討したいと思う。
回答者属性
年齢層
24~39歳がボリュームゾーン。
職業
「Web開発者」と「業務アプリ開発」が多い。
※【補足】=一部の項目は、画像上の用語が省略されているので、補足している。
- 【補足】フロントエンドエンジ: フロントエンドエンジニア/Webデザイナー
- 【補足】ジェクトマネージャー: プロジェクトマネージャー
※「その他」に、複数の人で同じ内容の回答はなかった。
プログラミング言語
Webデザイン/開発で必須の「JavaScript」を使う人が50%を超えているのは当然として、「C#」も50%を超えているのは、本サイトの特徴かもしれない。本サイトではこれまで、Web技術やデバイス技術だけでなく、.NETやXamarinなどのC#関連技術情報も積極的に発信しているため、そういった読者層が回答者属性にも表れている可能性があると考えている。その他では、「Java」と「PHP」「Ruby」あたりが強いが、これらはWeb開発でよく使われるプログラミング言語である(比較参考: 「TIOBE Software: プログラミング言語の人気ランキング」)。
作業用マシン
圧倒的に「Windows」を使う人が多い。「Mac OS」も4割あるが、やはりWeb開発やiOS開発などで活用している人が少なくないということだろう。
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以上、本稿の内容が何らかの参考になるとうれしい。
次回のアンケート調査は、9月末ごろから約3週間程度で開催したいと考えている。ぜひ次回のアンケート調査にご協力いただけると幸いだ。
姉妹記事
※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第1回~第5回)のみ表示しています。
連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。
1. We surveyed the most popular developer technology in Japan
The popularity rankings of development-technologies which developers want to use in the future.
3. 今、本当に人気がある「JavaScriptライブラリ&ツール」を調べてみた
Web制作者/開発者が「今後、使いたい」JavaScriptライブラリおよびWeb技術を、ランキング形式で発表。2014年度前半はこれらを押さえよう。
4. 2015年に向けて人気が高まっている、JavaScriptライブラリ/スマートフォン/次世代デバイスなどの開発技術
開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術を、ランキング形式で発表。2014年度後半はこれらに注目しよう。
5. “3K”と言われるほどブラックではない?! デベロッパー&Web制作者の実態と未来予想
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