Build Insider Survey【2016年6月実施】
2016年、人気の「開発技術&ツール」はどれ? HoloLensやXamarinの人気が爆発、Visual Studio Code躍進
開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術やツールを、ランキング形式で発表。2016年度後半はこれらに注目しよう。
「2016年、ReactがAngularを抜いて1番人気に! JSライブラリの利用意向はますます高まっている」では、Webエンジニアが今後、使いたい「JavaScriptライブラリおよびWeb技術」を、ランキング形式で発表した。本稿は、同じアンケート調査の残り半分を基にした記事で、「デバイス」「スマートフォン」「IDE」など、より幅広い開発技術やツールについて「本当は何が人気なのか」を明らかにする(※ちなみに、本稿と同じ質問内容のアンケート調査を毎年5月と11月に実施している。この定点観測により、技術トレンドの推移を浮き彫りにしたいと考えている)。
- 第1回(2014年4月)の結果
- 第2回(2014年10月)の結果
- 第3回(2015年4月)の結果
- 第4回(2015年11月)の結果
- 第5回(2016年6月)の結果(本稿)
アンケート結果の印象をまとめると、全体的には前回から大きな変動はないと感じたが、「HoloLens」や「Visual Studio Code」といった新しく登場した製品・ツールについては、比較的大きく人気が伸びている。データベースについては、栄枯盛衰の激しい“NoSQL”と比べてRDBMSの人気は堅調だと感じた。
- 開発技術全体の動向: 技術領域の人気傾向
- 各種アプリの開発技術: Web開発技術/スマートフォン開発技術/デバイス技術
- 各種アプリを支える技術&ツール: クラウドプラットフォーム/データベース&ストレージ/IDE(統合開発環境)&開発者向けテキストエディター
開発技術全体の動向
まずは、どういった技術領域の人気が高いかをチェックしよう。
技術領域の人気傾向
本アンケート調査では、開発領域を大きく下記の10種類に分けた。50%以上となった上位の3つは以下のとおり。
- 1プログラミング言語/スクリプト言語
- 2Web開発/Web制作/Webデザイン
- 3次世代デバイス/IoT開発(HoloLensや、Raspberry Pi、Arduinoなど)
前回と比較しても、大きな変化はない。「DevOps」が最下位から脱しており、最近、注目度が高まりつつあるようだ。
各種アプリの開発技術
Web開発技術
「2016年、ReactがAngularを抜いて1番人気に! JSライブラリの利用意向はますます高まっている」の中で紹介しているので、本稿では割愛する。
スマートフォン開発技術
スマートフォン開発技術の人気ランキングは、以下のようになった。
- 1Xamarin(C#)
- 2Windows 10 Mobile/UWP ネイティブ (C#/Visual Basic/JavaScript)
- 3Unity(C#/JavaScript)
- 4Android ネイティブ(Java)
- 5Cordova/PhoneGap/Monaca(HTML5)
- 6iOS ネイティブ(Objective-C/Swift)
本サイトの特徴としてC#開発者の読者が多く、その結果がある程度、ランキングに影響している。こういった事情に加え、Visual Studioユーザー向けに無料化された結果、今回の調査結果では「Xamarin」が(前回の50%から)26ポイントアップの76%で他に圧倒的な差を付けて1位となった。
Web技術ではReactが人気になってきているが、それに呼応するかのように「React Native」も徐々に人気は上がってきている。
・「その他」の具体的な内容例: 「Xamarin (F#)」「社内用業務アプリが主なので、ネイティブアプリよりもWebで対応する可能性が高いです」。
デバイス技術
HoloLensやApple Watch、電子工作用ボードなどの次世代型デバイス技術としては、今回初めて選択肢として追加した「HoloLens」が僅差で1位になった。前回1位の「Raspberry Pi」も3ポイント程度だが続伸している。
この他では、「Pepper」が前回15%→今回24%と9ポイントも上がっている。2016年7月にPepper開発者向けモデルの販売予約が行われたことが、一時的に影響している可能性もあると考えている。
・「その他」の具体的な内容例: 「Lattepanda」「Microsoft Band」「LEGO」。
各種アプリを支える技術&ツール
クラウドプラットフォーム
クラウドの結果については前回から大きな変化はない。
- 1Azure
- 2AWS
- 3Google Cloud Platform(App Engineなど)
- 4Heroku
C#開発者の多い本サイトでは「Azure」の利用者数が多い結果となった。もちろん「AWS」も人気が飛び抜けて高く、「両者が僅差で競り合っている」といえる。
・「その他」の具体的な内容例: 「IBM Bluemix」「ConoHa」「クラウドは未解禁の環境です」。
データベース&ストレージ
データベース/ストレージの利用意向の人気順は、以下の通りだ(=「今後、使いたい」が30%を超えた、上位の5つ)。
- 1Microsoft Azure SQL Database
- 2PostgreSQL
- 3Microsoft SQL Server
- 4Microsoft Azure Storage
- 5MySQL
データベース技術においても、目立った変動はなかった。強いて挙げると、「Microsoft SQL Server」が9ポイントアップしたのに対して、「MongoDB」の人気が5ポイントほど落ちている。全体的に、RDBMSの人気は堅調で、NoSQL系の技術は人気が少し落ち着きつつあるという印象を持った。が、今回の結果だけでは断定しづらいので、次回以降のアンケート結果で動向をチェックしていきたい。
・「その他」の具体的な内容例: 「Realm」「Google BigQuery」。
IDE(統合開発環境)&開発者向けテキストエディター
IDEやエディターの中では、主に以下のものの人気が高かった(=「今後、使いたい」が20%を超えた、上位の6つ)。C#開発者の割合が高い本サイトでは、特に「Visual Studio」の人気が高く、今回もやはり不動の1位だった。
- 1Visual Studio
- 2Visual Studio Code
- 3Visual Studio(ReSharper プラグイン搭載)
- 4IntelliJ IDEA
- 5Android Studio
- 6Xamarin Studio
2位の「Visual Studio Code」は前回から6ポイント増やして、1位に肉薄している。次回の結果では「Visual Studio」を抜く可能性もあるだろう。一方で「Atom」や「Sublime Text」の人気がそれぞれ大きく減っており、その原因として「Visual Studio Code人気化」の影響が少なからずあると考えられる。
・「その他」の具体的な内容例: 「Rider」「PhpStorm」「LightTable」「Netbean」「AppCode」
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以上、本稿の内容が何らかの参考になるとうれしい。
次回のアンケート調査は、11月ごろに実施したいと考えている。ぜひ次回のアンケート調査にご協力いただけると幸いだ。
※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第11回~第15回)のみ表示しています。
連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。
11. 技術トレンド調査: Visual Studio Code登場で競争激化、さらに進んだクラウドへの移行
開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術やツールを、ランキング形式で発表。特に開発用テキストエディターの競争が激化して面白くなってきている。
12. 2016年、ReactがAngularを抜いて1番人気に! JSライブラリの利用意向はますます高まっている
Web制作者/開発者が「今後、使いたい」JavaScriptライブラリおよびWeb技術を、ランキング形式で発表。2016年度はこれらを押さえよう。
13. 【現在、表示中】≫ 2016年、人気の「開発技術&ツール」はどれ? HoloLensやXamarinの人気が爆発、Visual Studio Code躍進
開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術やツールを、ランキング形式で発表。2016年度後半はこれらに注目しよう。
14. 開発者/Web制作者はどんなアウトプット手段を使っているのか? その頻度は?
Build Insiderが半年ごとに実施しているアンケート調査の結果レポート(前編)。今回の調査テーマは「ITエンジニアのアウトプット」。新技術に取り組む姿勢や、アウトプット手段/頻度についての調査結果を示し、簡単に考察する。さらに各エンジニアが大事にしているキーワードやアドバイスも紹介する。
15. 技術トレンド調査: AWSとAzureを猛追するGoogle Cloud Platform、徐々に人気を高めるReact NativeとApple Watch
開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術やツールを、ランキング形式で発表。2017年度前半はこれらに注目しよう。