Build Insider Survey【2016年6月実施】
2016年、ReactがAngularを抜いて1番人気に! JSライブラリの利用意向はますます高まっている
Web制作者/開発者が「今後、使いたい」JavaScriptライブラリおよびWeb技術を、ランキング形式で発表。2016年度はこれらを押さえよう。
依然としてJavaScriptライブラリの栄枯盛衰は、すさまじいスピードで進んでいる。2016年、本当に利用意向の高いJavaScriptライブラリはどれなのか。これを調査するため、Build Insiderではアンケート調査を実施した(※ちなみに、本稿とほぼ同じ質問内容のアンケート調査を毎年5月に実施している。この定点観測により、技術トレンドの推移を浮き彫りにしたいと考えている。その去年の結果はこちら)。
- JavaScript関連全体の動向: 人気ジャンル
- フレームワーク関連: MV*などのJavaScriptフレームワーク/SPA(Single Page Application)開発の採用動向
- 各種アプリを支える技術&ツール: altJS(JavaScript代替)/CSSプリプロセッサー(CSSメタ言語)
JavaScript関連全体の動向
まずは、どういったジャンルの人気が高いかをチェックしよう。
人気ジャンル
JavaScriptライブラリ/ツールの中で、実際のプロジェクトでの利用意向が高いジャンルは、以下の通りだった(上位5つ)。
- 1UIライブラリ(Bootstrap、jQuery UIなど)
- 2MV*などの各種フレームワーク(ReactやAngularJSなど)
- 3altJS(Java Script代替。TypeScriptなど)
- 4Java Scriptテストツール(Jasmineなど)
- 5Java Scriptパッケージマネージャー(npmやBowerなど)
次のグラフに示すように、「UIライブラリ」が58%と過半数超えで前年同様に1位、「フレームワーク」が2位で56%、「AltJS」が3位で53%と、これらも過半数を超えた。10位以内(つまり「UIコンポーネント」から上の項目)は全て前年より10%程度利用意向が増しており、ますますJavaScriptライブラリ/ツールを活用する傾向が強まってきているようだ。特に「フレームワーク」については前年3位で13ポイントと大きく飛躍している。
・6位以降の順位: 「CSSプリプロセッサー(CSSメタ言語。Sassなど)」「DOM操作(jQueryなど)」「タスクランナー(gulp.js、Gruntなど)」「Webグラフィックス/データ可視化(three.js、D3.jsなど)」「UIコンポーネント(Web Components)」「モバイルフレームワーク(jQuery Mobileなど)」「WoT(Web of Things: IoTをWeb技術で実現)」「Java Scriptライブラリ/ツールは不要」。
フレームワーク関連
ここでは、各JavaScriptライブラリの人気ランキングを紹介する。
MV*などのJavaScriptフレームワーク
今、最も人気があるJavaScriptフレームワークは次の4つとなる。
この分野は、この1年で大きな変動が起きている。「いつか」とは思っていたが「ついに、ようやく」である。前年は38%で2位だった「React」が47%と約10ポイント向上した。大人気だった「Angular」を抜いて1位となっている。なお、間もなく正式リリースされると予想される次期「Angular 2」と現バージョンの「AngularJS」を合算(※複数回答可だったので「いずれか」もしくは「両方」を選んだ回答者数で計算)すると55%で前年とほぼ同じパーセンテージとなり、「Angular系も人気を維持している」と見ることもできるが、Reactに比べて成長率が弱いのは間違いない。
・「その他」の具体的な内容例: 「Office.js」「WebRx」「mithril」「rachet」。
今回は比較用に「jQuery」を含めてみたが、3位にランクインしており、依然としてニーズは高いようだ。
それ以外で注目したい項目としては、6位(16%)の「Vue.js」と8位(10%)の「Riot.js」である。これらは今年、急速に人気が伸びてきている。
SPA(Single Page Application)開発の採用動向
近年、GmailやFacebookのように、ネイティブアプリケーション並みの機能をWeb技術で提供するサイトが増えてきた。その背景には、SPA(シングル・ページ・アプリケーション)と呼ばれるアーキテクチャが存在し、それをReactやAngularなどの最新JSフレームワークがサポートすることで、一般的なWeb開発者にとってもSPA開発がより手軽で身近なものになってきていることがある。
そこで今回のアンケートでは、このSPA開発の採用動向についても1つ設問を用意してみた。上位の5つは以下の結果となったが、圧倒的に1の回答が多かった(57%)。
- 1SPAを作ったことはないが、関心はある
- 2今後もWebサイト制作が主流で、SPA開発は一部にとどまると思う
- 3SPAを現在、作っている
- 4SPAを過去に開発したことがある
- 5SPAを作ったことがなく、関心もない
やはり注目を集めているアーキテクチャだけあって、関心度は非常に高い。一方で「作っている」「過去に開発したことがある」「開発する予定がある」の回答者数を合算すると29%で、実際に開発に関わっているのは3割程度となっている。現状では「SPA開発はある程度広まってきている」といえるだろう。
一方で、「SPA開発は一部にとどまる」もしくは「SPA開発は次第に廃れる」と考える人は(合算で)19%で、約2割の人はSPA開発の将来性に疑問を感じていることが分かった。
全体では、やはりSPA開発の人気は高く、ReactやAngularなどフレームワーク側の進化に合わせてさらなる成長が期待されると考えられる。
Web制作時に使えるJavaScript関連ツール
続いて、JavaScript関連ツールの人気ランキングを紹介しよう。
altJS(JavaScript代替)
JavaScript言語をより効率的に記述できる代替言語/ツールでは、主に下記の2つが人気である。
- 1TypeScript
- 2Babel(トランスパイラー)
AltJSについては、依然として「TypeScript」の圧勝(77%)となっており、それ以外の項目も含めて1年前から大きな変動は見られない。
・「その他」の具体的な内容例: 「Scala.js」「ClojureScript」。
CSSプリプロセッサー(CSSメタ言語)
altJSが出たので、次にCSSプリプロセッサーも見ておこう。下記の2つが人気だ。
1年前とほぼ同じ順位であるが、前回は縮まった「LESS」と「Sass(SCSS)」の差(13ポイント差)が、再び広がった結果(26ポイント差)となった。この分野は依然として決着が付いていない混戦状況といえるだろう。
・「その他」の具体的な内容例:、「Bootstrapのテーマを変えるくらいで、CSSまで手が回らない」。
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以上の結果をまとめると、2016年前半時点では、下記のJavaScriptライブラリ&ツールの利用意向が高まっているので、ぜひその内容を押さえておこう。
全体的な印象では、JSライブラリへの関心はますます高まりつつあるようである。Reactがこの1年で大きな飛躍を果たしたのは興味深い。来年はどうなっているか楽しみでならない。
JavaScriptライブラリ以外にも、「Web技術の中で特に注目しているテクノロジがあれば、具体的にお聞かせください」という質問(自由回答形式)で、Web技術全般の人気動向を調査した。その結果、以下の人気順でWeb技術が注目されていることが分かった(※太字の項目は、去年にはなく今年新しく入った項目)。
- 2Angular 2(AngularJS含む)
- 2Electron
- 2WebRTC
- 2WoT(=IoT+Web技術)
- 3.NET Core(ASP.NET Core含む)
- 3ECMAScript 2016
- 3React
- 3Service Worker
- 4その他: 「Azure」「Canvas」「ECMAScript 2015」「emscripten」「Flux」「HTML5」「http2」「Java Scriptフレームワーク」「JavaScriptで、Office開発を行うこと」「Progressive Web App」「Reactive System(※React.jsではなく)」「Riot.js」「Selenium」「SPA(シングル・ページ・アプリケーション)」「sukiyaki.js」「three.js、D3.js等、3DデータをWebで表示するもの」「TypeScript」「Web Components」「Web Workers」「WebGL」「Websockets」「WebVR」「チャットボット」など
以上、実際のWeb制作でJavaScriptライブラリ/Web技術を選択・学習する際の参考にしてほしい。
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回答者属性
年齢層
年齢層は、23歳までの学生層が約5%、24~34歳の若手層が37%と、35~44歳の中堅層が43%、45歳以上のベテラン層は15%となっている。前回(半年前)や前々回(1年前)と比較すると若手層が10ポイントほど減り、逆に中堅層が8ポイントほど増えているが、今回はメール配信をきっかけに回答された方が7割近くと通常よりも多かったので、その影響があるかもしれないと考えている。
職業
「業務アプリ開発」と「Web開発者」が多い。これは前回とほぼ同じだ。
・「その他」の具体的な内容例: 「エンジニア研修講師」「Instructor」「ロボットエンジニア」「セールスエンジニア」「サポートエンジニア」「無職(休職中)」「家事手伝い」。
プログラミング言語
Webデザイン/開発で必須の「JavaScript」を使う人が60%を超えているのは当然だろう。「C#」が50%を超えて2位になっているのは、本サイトの特徴だろう。なお今回の調査で初めて「C#」が前回までの1位から2位にランクを落とした。「Visual Basic(.NET)」も3ポイントほど落としており、この1回の調査結果だけでは断定できないが、.NET利用者が徐々に減り始めていることを意味している可能性がある。
・「その他」の具体的な内容例: 「Kotlin」など。
作業用マシン
圧倒的に「Windows」を使う人が多い(前回とほぼ同じ)。
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次回アンケート調査時にメールで通知してほしい場合は、こちらからメールアドレスを登録されたい。
※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第10回~第14回)のみ表示しています。
連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。
10. なぜ勉強会・カンファレンスに参加するのか? 良かった勉強会・残念だった勉強会
Build Insiderが半年ごとに実施しているアンケート調査の結果レポート(前編)。今回の調査テーマは「勉強会参加」。参加頻度/参加目的/具体的な参加理由/良かった点/残念だった点について結果を示し、簡単に考察する。
11. 技術トレンド調査: Visual Studio Code登場で競争激化、さらに進んだクラウドへの移行
開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術やツールを、ランキング形式で発表。特に開発用テキストエディターの競争が激化して面白くなってきている。
12. 【現在、表示中】≫ 2016年、ReactがAngularを抜いて1番人気に! JSライブラリの利用意向はますます高まっている
Web制作者/開発者が「今後、使いたい」JavaScriptライブラリおよびWeb技術を、ランキング形式で発表。2016年度はこれらを押さえよう。
13. 2016年、人気の「開発技術&ツール」はどれ? HoloLensやXamarinの人気が爆発、Visual Studio Code躍進
開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術やツールを、ランキング形式で発表。2016年度後半はこれらに注目しよう。
14. 開発者/Web制作者はどんなアウトプット手段を使っているのか? その頻度は?
Build Insiderが半年ごとに実施しているアンケート調査の結果レポート(前編)。今回の調査テーマは「ITエンジニアのアウトプット」。新技術に取り組む姿勢や、アウトプット手段/頻度についての調査結果を示し、簡単に考察する。さらに各エンジニアが大事にしているキーワードやアドバイスも紹介する。