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VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意

VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意

極意5: カテゴリとサブカテゴリの選び方

2013年8月20日

「カテゴリやサブカテゴリだから適当でいいや!」と高をくくっていると痛い目に遭う。実際の経験を基に、カテゴリとサブカテゴリの選択指針をまとめる。

薬師寺 国安
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前書き ―― 今回の極意について

 「Windows 8 アプリの認定の要件」の中に、カテゴリとサブカテゴリについて以下の記述がある。

  「6.11 アプリのカテゴリとサブカテゴリはアプリの特性または目的に対応していなければならない

 Windowsストアにアプリを申請する際、申請するアプリがどのカテゴリやサブカテゴリに属するか、ドロップダウンリストで選択できるようになっている。「カテゴリやサブカテゴリだから適当でいいや!」と高をくくっていると痛い目に遭うので、決して侮ってはならない。

カテゴリとサブカテゴリの説明

 「カテゴリとサブカテゴリの選択の詳細」は次の表のようになっている。

カテゴリ説明サブカテゴリ
書籍 本、読書、参考資料 電子ブック リーダー
フィクション
子供向け
ノンフィクション
辞書/リファレンス
ビジネス 経営やビジネスでの成功
教育 教育、指導、学習
エンターテイメント 趣味や一般的な娯楽
マネー 個人資産管理
グルメ 食品、料理、食事
ゲーム 娯楽のためのアプリ、ゲーム アクション
アドベンチャー
アーケード
カード
カジノ
ファミリー向け
子供向け
ミュージック
パズル
レース
RPG
シューティング
シミュレーション
スポーツ
戦略
政治 政府機関によって作られたり、政府機関が使うように作られたもの
ヘルスケアとフィットネス 健康管理や体調維持のためのアプリ
ライフスタイル 余暇活動、趣味、興味など
音楽や動画 音楽や動画の作成や視聴に関するもの ミュージック
動画
ニュースと天気 ニュース、天気や、時事問題、有名人のゴシップなど ニュース
天気
写真 写真、画像の処理、共有
仕事効率化 スケジュール、計画、コミュニケーションなど、個人の生産性
セキュリティ PC のセキュリティ (ウイルス対策、マルウェア対策、ファイアウォールなど) PC の保護 (使用の制限)
個人のセキュリティ
ショッピング オンライン ショッピング
ソーシャル ソーシャル メディア、ソーシャル ネットワーキング
スポーツ スポーツに関するニュースやパーソナル スポーツ
ツール(ユーティリティ) 電卓など、特定の作業でユーザーに役立つアプリ
旅行 通貨換算ツール、旅行計画ツール、トラベル ガイド
カテゴリとサブカテゴリの選択の詳細な説明

初期のころのカテゴリとサブカテゴリの選択

 筆者の経験では、Windowsストアの審査が開始された当初(約1年前)は、ほかの項目に関してもそうだったのだが、カテゴリやサブカテゴリに関しても特に注意を払う必要はなく、適当なカテゴリやサブカテゴリを選択しておいても、問題なく認定されていた。しかし、これはあくまでも約1年前の話であって、最近では確実に、適当な選択ではリジェクトされる。

 筆者はWindowsストアが開設された当初から、Windowsストアにアプリを申請していたため、悪い意味で申請慣れしてしまっている面がある。だから今でもつい、カテゴリやサブカテゴリという直接アプリの機能に関係ない箇所については、いい加減な選択をしてしまいそうになる。こういった適当なやり方では、現在の審査方法では100%リジェクトされてしまう。ストアの審査を甘く見てはならない。自戒しなければならないのだ(-_-;)。

 筆者は最近、約1年前にWindowsストアに公開していた「画像の合成」をバージョン・アップしてリリース2として申請した(次の画像を参照)。

2枚の画像を合成してFacebookにアップロードするアプリ

 このアプリはローカル・フォルダーの画像を2枚読み込み、2枚の画像を合成して、完成した画像をFacebookに投稿できるアプリだ。

 リリース2は見事にリジェクトされてしまった。一瞬「なぜ?」が頭をよぎったが、リジェクト理由を見てすぐに安堵した。カテゴリとサブカテゴリの不具合によるリジェクトであり、プログラム自体には問題が無かったためである。

カテゴリまたはサブカテゴリがアプリの内容と一致していないためのリジェクト

 カテゴリやサブカテゴリが原因によるリジェクトの場合は、次の画面のような「認定レポート」になる。

カテゴリやサブカテゴリが不適当でリジェクトされた認定レポートの内容

リジェクトの理由

 「要件6.11を満たしていません。」と表示されている。この要件6.11がカテゴリとサブカテゴリに関する要件だ。また下の方に、「審査担当者からのコメント:」というのがあり、英文でコメントが書かれている。英文が苦手な方でも、「category」や「subcategory」という単語が見えるので、「リジェクトされた理由は、カテゴリまたはサブカテゴリが不適切だったからだな」ということが分かるだろう。

 約1年前にこの「画像の合成」を申請して認定されたときのカテゴリは「エンターテイメント」にしていた。先ほどの表を見ていただくと分かるが、「エンターテイメント」は「趣味や一般的な娯楽」となっている。にもかかわらず、このカテゴリで問題なく認定された。しかし約1年後にリリース2を申請した際、カテゴリの件は全く頭になかった。一度認定されているから、新規作成したファイルのアップロードと、スクリーンショットや操作説明以外に、変更すべき箇所はないだろうと思っていた。ところが、実際に申請したところ、リジェクトされてしまったのだ。

 結論は、カテゴリを「ユーティリティ」に変更して再申請し、無事に認定された。「ユーティリティ」は「電卓など、特定の作業でユーザーに役立つアプリ」となっている。このアプリは電卓ではないが、特定の作業でユーザーに役立つアプリに属するのだと思われる。

 今になって思うが、確かにこのアプリの性質上、「エンターテイメント」ではおかしいと思う。初期の審査においては、審査員の「認定の要件」に関する理解が甘かったのだろうと推測される。カテゴリは「ユーティリティ」が正解だ。私のように、カテゴリを甘く見て申請することはお勧めできない。自分の作ったアプリの機能をよく考えて、カテゴリを選択すべきだと思う。

カテゴリやサブカテゴリが明白なアプリ

 筆者はFacebookの友人から、出張先でコンビニを探すのに苦労するから、コンビニの位置を表示するWindowsストア・アプリがあればうれしいといわれた。そこでさっそく「現在地からのコンビニ検索」を申請し、認定されてストアに公開している(次の画面を参照)。

「現在地からのコンビニ検索」のアプリ

 このアプリは、自分が現在いる場所からの、1km範囲内のコンビニの位置をBing Maps上に表示し、その情報を表示するアプリだ。また場所を指定して、指定した場所からのコンビニの位置を表示することもできる。初期のころのアプリだから、タイトルが入っていない。お恥ずかしい限りだ。

 このアプリを申請する場合のカテゴリの選択は簡単だった。「出張先で便利に使用できるアプリ」と聞いていたので、カテゴリはちゅうちょすることなく「旅行」を選択して申請した。もちろん一発で認定されたことは言うまでもない。

カテゴリやサブカテゴリの選択に迷うアプリ

 先の「現在地からのコンビニ検索」のカテゴリ選択は容易だった。次に筆者がカテゴリ選択で迷ったアプリが「現在地からの大学検索」だ(次の画面を参照)。

「現在地からの大学検索」のアプリ

 このアプリは、自分が現在いる場所からの、1km範囲内の大学の位置をBing Maps上に表示し、その情報を表示するアプリだ。また、指定した場所からの大学の位置を表示することもできる。

 筆者が、このアプリのカテゴリに迷ったのは、旅行先で、この近くに大学は存在しているのか、という場合にも利用できる。しかし大学は、先の表には載っていないが、実際の申請のカテゴリ選択では表示される「公共 & 行政」に属するのではないかとも考えた。さて、どちらのカテゴリにしたらいいものかと少なからず悩んだ。結果、「公共 & 行政」にして申請したら認定された。このアプリの場合は「旅行」のカテゴリを選択していても認定されていたのではないかと思う。その場合は「説明」や「審査担当者へのコメント」欄に、次のように書いておく必要があるかもしれない。この1文を書かない以上は「公共 & 行政」を選択しておく方が無難だろうと思う。

旅行に行った際、自分の現在いる近くに大学が存在しているかどうかを確認するのに役立つアプリです。

カテゴリとサブカテゴリの選択でのまとめ

 MSDNのサイトでは、下記のような記述がある。

どのカテゴリやサブカテゴリを使えばよいか分からない場合は、同じようなアプリを見つけるときに探す可能性が高いと思われるカテゴリを選んでください。

 しかし、この1文を読んでも、漠然としていて、実際に申請する場合は、どのカテゴリにするか悩む。

 「ゲーム」や「天気」、「写真」、「書籍」、「教育」のカテゴリは比較的選択しやすい。筆者は「四文字熟語」とか「ことわざ辞典」とかいうアプリも公開しているが、こういったアプリは全て「教育」のカテゴリに含めている。またWebカメラを使用したアプリもたくさん公開している、Webカメラで写した画像にいろいろな部品を合成するアプリだが、最初は「ユーティリティ」にするか「写真」にするか迷ったが、結果的に出来上がるものは合成した画像であるため、「写真」のカテゴリに含めた。それで問題なく認定されている。

カテゴリとサブカテゴリの選択は慎重に

 カテゴリやサブカテゴリの選択を決して侮ってはならない。自分の作ったアプリの有用性や実用性、またユーザーに対して、どんな価値をもたらすことができるのかを考えれば、カテゴリやサブカテゴリの選択はおのずと決まってくる。そのためにも、「極意3」で解説した「アプリの独特かつ独創的な価値または実用性について」がここでも重要になってくるのだ。アプリの価値と実用性が明確でないと、カテゴリやサブカテゴリの選択で誤り、リジェクトされる可能性が出てくるので、十分に注意してほしい。

 大事なのは、「自分の作ったこのアプリは、ユーザーに対して何を提供でき、ユーザーにどんなメリットをもたらすことができるのだろう」と考えながらアプリ作成に取り組むことだ。自分にとって面白い、役に立つアプリが、同様に、ユーザーにも同じ結果をもたらすものでは決してない。自己満足だけのアプリに終わらないで、ユーザーの目線に立ったアプリ作成が重要になってくるのだ。

 次から次に機能を追加して、アプリの操作性を複雑にするアプリは決して質のよいアプリとはいえない、と筆者は思っている。それは自己満足だけのアプリにすぎない。「Simple is Best」これがWindowsストア・アプリの原点だと筆者は考える。「Simple is Best」なアプリなら、アプリの価値や実用性は明確であり、カテゴリやサブカテゴリの選択もおのずと決まってくるのだから……。

お知らせ

Windows 8の[検索]チャームで「ストア」を指定し、検索欄に、「kuniyasu」または「YakushijiKuniyasu」または「eightman」と入力すると、筆者の公開しているアプリの一覧を見ることができる。

 今回はこれで終わりだ。カテゴリとサブカテゴリの選択は、アプリ申請において、特に重要ではないように思われるかもしれない。前にも書いたが、約1年前にWindowsストア・アプリを申請したころは、正直、筆者も大体適当にカテゴリやサブカテゴリを選択していた。当時は、その適当さでもアプリは認定された。

 しかし1年が経過した今は、当時とは認定の要件、審査の厳格さが格段に違う。昔と同じ感覚でカテゴリやサブカテゴリを選択していると、あっさりとリジェクトされてしまう。

 もちろん最近、Windowsストア・アプリ開発を始めてWindowsストアに申請する方は、この厳しい条件下で申請するわけだから、カテゴリやサブカテゴリの選択にも慎重になられていると思う。しかし、筆者のように昔から申請していた人間は、すでに申請している昔のアプリの中で、カテゴリやサブカテゴリが不適当なものが結構ある。再申請する場合は、必ずカテゴリやサブカテゴリの欄も再度チェックするよう心掛けている。昔の自分の申請方法がいかに適当なものであったかに気付かされ、我ながらあきれてしまうことも度々ある今日である(-_-;)。

 では、また次の記事でお会いしよう。

※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第3回~第7回)のみ表示しています。
 連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。

VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意
3. 極意3: アプリの独特かつ独創的な価値または実用性について

Windowsストアアプリを申請して、認定されたアプリとリジェクトされたアプリの違いを紹介する。

VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意
4. 極意4:プライバシー・ポリシーの必要性

「プライバシー・ポリシー・ページはどんなときに必要なのか?」「Windowsストア・アプリからどのような手段で表示すればよいのか?」について解説する。

VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意
5. 【現在、表示中】≫ 極意5: カテゴリとサブカテゴリの選び方

「カテゴリやサブカテゴリだから適当でいいや!」と高をくくっていると痛い目に遭う。実際の経験を基に、カテゴリとサブカテゴリの選択指針をまとめる。

VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意
6. 極意6: ユーザーがWindowsストアからアプリを入手したとき、そのアプリは完全に機能しなければならない

「アプリは完全に機能しなければならない?!」ってどういう意味? 筆者の体験談から、マイクロソフトのテスターが「アプリが不完全だ」と判断する例と対処法を説明する。

VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意
7. 極意7: アプリは、キーボード、マウス、タッチで機能する必要がある

作成したアプリは、キーボードでもマウスでもタッチでも動く必要がある。この理由で申請をリジェクトされた場合の体験談と対処法を紹介する。

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