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VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意

VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意

極意8: アプリで広告を表示するために、説明、タイル、通知、アプリ バー、または端からのスワイプ操作を使ってはならない

2013年9月13日

収益を得るために広告を掲載する場合、何が良くて何がダメなのか。不合格になった認定レポートを紹介し、その対処方法を紹介する。

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前書き ―― 今回の極意について

  「Windows 8 アプリの認定の要件」の中に、以下の記述がある。
   「2.3 アプリで広告を表示するために、説明、タイル、通知、アプリ バー、または端からのスワイプ操作を使ってはならない
    ・スクリーンショット、テキスト、プロモーション用の画像など、アプリを説明する要素は、アプリを説明する必要があり、広告を追加してはいけません。

 この「認定の要件」は、アプリ上で広告やそれに類するものを掲載しない人には、直接的には関係のない要件だ。ただ、広告を掲載して少しでも広告収入を得たい方には、重要な要件である。

この認定の要件の意味

 この「認定の要件」の意味するところは、Windowsストア・アプリには広告を表示させられるが、その広告を表示させる方法として、アプリバーに表示させたり、広告をスワイプ操作で表示させたりしたらダメで、また説明にも広告についての説明を追加したらダメ。また、タイルや通知にも広告を使用したらダメ、ということだ。

 早い話が、「広告は画面上に堂々と表示させて、知らんぷりをしておけ」ということだ。[説明]欄で広告について触れたりしたら、リジェクトされるので注意しよう。

 広告を使用した筆者のアプリで、Windowsストアに公開しているのに、「新版:日本のお城」というのがある(次の画面を参照)。このアプリは、日本全国に存在する有名なお城の所在地と情報をBing Maps上に表示するアプリだ。

 この画面には[kuniyasuのアプリ一覧]というボタンも配置しているが、このボタンも広告の一種と見なされる。このボタンの解説については別途後述している。

広告(左の赤い枠内)を表示した「新版:日本のお城」、日本全国に広がるお城の位置を表示したアプリ

 このアプリは、今回の要件でリジェクトされてしまった。その内容と対処法を説明しよう。

リジェクトされた「認定レポート」

 広告についての不合格「認定レポート」の内容は、次の画面のような内容になる。

広告の表示方法に問題があって不合格になった認定レポート

広告表示に関してリジェクトされた場合の対処法

 先の「新版:日本のお城」の画像で、赤い枠で囲っている部分が広告だ。とにかく広告は、「2.3 アプリで広告を表示するために、説明、タイル、通知、アプリ バー、または端からのスワイプ操作を使ってはならない」ということだから、画面上に直接堂々と広告を表示させるといい。小細工は不要だ。そして一切、[説明]の欄などにも「広告を表示します」などとは書かないことだ。スクリーンショットは画面に自然に含まれている場合は問題ないが、あえて広告だけのスクリーンショットを掲載するとリジェクトされるので注意しよう。

 一度リジェクトされ、広告に対する対処法さえ分かってしまえば、この「認定の要件」のクリアは簡単である。プログラムのバグなどによるリジェクトではないため、今回のこの極意に従ってさえいれば、2回目には確実に認定されることは間違いがない。先に、この極意を読んでおられた方なら、この「認定の要件」でリジェクトされることは100%ないと断言できる。筆者のこの自信が崩壊しないことを願う(-_-;)。

 また最近では、コンテンツよりも広告の方が目立つアプリも、リジェクトの対象になるらしいので、注意が必要だ。「らしい」というのは、まだ筆者が実際に経験したことではなく、情報としてのみ知っているからだ。審査員が、「このアプリは広告のアプリか!」と思ってしまうようなアプリでは、完全にリジェクトされてしまうらしい。肝心なのはアプリのコンテンツであって、広告ではないということを肝に銘じておきたい。

Windowsストアに公開しているアプリへのリンク

 また、先の「新版:日本のお城」の画像で、赤い枠線で囲っている右手の[kuniyasuのアプリ一覧]というボタンをタップすると、Windowsストアで公開されている筆者のアプリが一覧で表示されるようにしている(次の画面を参照)。筆者の公開しているアプリを宣伝するためのリンク・ボタンだから、このボタンは当然、広告の一種だと見なされる。

[kuniyasuのアプリ一覧]ボタンでWindowsストアに公開しているアプリの一覧が表示された

 この「新版:日本のお城」は[kuniyasuのアプリ一覧]ボタンの対処の仕方が悪かったため、リジェクトされた。そのリジェクト理由は先に掲載した「新版:の本のお城:認定のレポート」を見ていただければ分かる。

[kuniyasuのアプリ一覧]ボタンの何が悪いのか?

 実は、「新版:日本のお城」アプリでは、広告に関しては画面上に配置し、説明でも一切触れていなかったため、そのリジェクト理由は、この広告によるものではなかった。だが、[kuniyasuのアプリ一覧]ボタンの対処の仕方が悪かったのだ。当時の筆者の認識では、この[kuniyasuのアプリ一覧]ボタンが広告に該当するとはみじんも思っていなかった。

 広告とは、「新版:日本のお城」の画像の、赤い枠線で囲んだ左側のようなものを指すものだと思っていた。だから、ご丁寧に[説明]欄には「[kuniyasuのアプリ一覧]ボタンをタップすると、Windowsストアで公開しているアプリの一覧が表示されます。」と説明していた。また、ご丁寧にWindowsストアでのkuniyasuのアプリ一覧のスクリーンショットも追加していた。この行為が、今回の「認定の要件」に抵触したのだ。筆者の認識不足が招いたリジェクトだ。

 先の「新版:日本のお城:認定レポート」の画像を見ていただくと分かると思うが、下のほうに、[新しい情報のダウンロード (.zip ファイル、868 KB)]という表記のリンクが見えると思う。このリンクをタップしてZIPファイルをダウンロードして解凍すると、中に「Submission Finding.pdf」ファイルが現れる。この中身が、次の画像だ。

「新版:日本のお城」がリジェクトされた際に、添付されていたZIPファイルを解凍して表示されたPDFファイルの中身

 英語が苦手な方でも、これは一見すると、「このスクリーンショットを掲載していたのがマズイのか!」ということは分かると思う。このスクリーンショットを削除し、[説明]欄に記載していた[kuniyasuのアプリ一覧]ボタンの説明も全て削除して、再申請すると無事に認定された。

 要は、前にも書いたが、広告、及び、広告に類似するものは、堂々と正面に配置し、この件に関しては全く触れず、知らんぷりをしておけということだ。このことを肝に銘じておいてほしい。

お知らせ

Windows 8の[検索]チャームで「ストア」を指定し、検索欄に、「kuniyasu」または「YakushijiKuniyasu」または「eightman」と入力すると、筆者の公開しているアプリの一覧を見ることができる

 人間というものは、筆者も含めて、一度成功すると、同じやり方でやると何度でも成功するものと勘違いをしてしまう。Windowsストア・アプリについても然りだ。しかし、Windowsストア・アプリでは、これは通用しない。そのコラムを次に書いた。

【コラム】Windowsストアへの申請では、一度あったことが二度あると思ってはならない

  初期のころ(約1年前)、筆者は[kuniyasuのアプリ一覧]というボタンを、アプリバー内に表示し、[説明]欄にも「[kuniyasuのアプリ一覧]ボタンをタップすると、アプリの一覧が表示されます。」と記述し、スクリーンショットにもアプリ一覧の画面を掲載して申請したことがあった。当時はこれで認定されたことがある。約1年前のことだから、審査員の「認定の要件」に関する認識が甘かったのだろうと推測される。

 一度、これで認定されると、同じ方法を用いて、別なアプリでも申請してしまう。すると、ある日突然に、先に掲載したPDFのような画面が添付されて、見事にリジェクトをされることになる。「あれ! なんで?」と一瞬頭の中で叫んでしまう。そうりゃそうだ、一度は認定されているのだから、今回も認定されると考えるのが普通だ。

 しかし「『Windows8アプリ認定の要件』は常に改定が繰り返され、内容は新しく書き換えられている。前回認定されたから、今回も認定されるとは考えない方がいい」と教えられた。最近では、「確かにそうだな」と納得している。しかし、「改定が繰り返される」というと聞こえはいいが、単に初期のころは審査員の教育が徹底されていなかった(-_-;)、というだけではないのかと、筆者は考える。

 約1年前のこのリジェクトは、「認定の要件」では、「2.3 アプリで広告を表示するために、説明、タイル、通知、アプリ バー、または端からのスワイプ操作を使ってはならない」と記載されているのだから、リジェクトされるのが当然であって、認定されていた方が間違っていたのだ。認定されたのは審査員の判断ミス、または審査員自身がこの「認定の要件」を理解していなかった、といった方がいいだろう。審査員も人の子、担当者によっては、現在でも認定にばらつきがあるのは事実だ。そんな審査員に振り回される開発者が一番の犠牲者である。

 筆者もそうなのだが、大部分のWindowsストア・アプリの開発者は、「Windows 8 ストア認定の要件」に、最初からは目を通さないのではないかと思う。筆者の考えは間違っているだろうか? 開発者は「認定の要件」に、まずは目を通してからアプリを作成し始めるのだろうか? いや、いや、そんなことはないだろう。恐らく、大部分(全てではない)の開発者は、申請したアプリがリジェクトされて初めて、「認定の要件」に目を通して、「なるほど、この方法ではダメなのか」と気付くのではないだろうか?

 筆者はリジェクトされて初めて「認定の要件」に目を通すタイプだ。もし、筆者の判断が間違っていたらお許しいただきたい。自分がそうだから、他人もそうなのだろう、という自己中心的な考えから導き出した意見ではないので、その点誤解のないようにお願いしたい。先に「認定の要件」に目を通しておくと、かえってアプリが作りづらくなるのでは、と思うからだ。

 筆者は前述したやり方でいいと思う。まずは申請して、リジェクトされたら、リジェクトに該当する「認定の要件」に目を通し、修正して再申請する。この繰り返しで、徐々に認定されるコツをつかんでいけるだろう。

 要は、経験なのだ。経験さえ積んでいけば、Windowsストアで認定されることは、思ったほど難しいことではない。リジェクトを恐れずに、まずは、どんどんアプリをWindowsストアに申請していただきたいと思う。現在260個以上のアプリをWindowsストアに公開している、筆者の実体験から導き出した答えだから、「たぶん(-_-;)」間違いはないと思うのだが……。

 今回はこれで終わりだ。今回の「認定の要件」は一度分かれば、あとは簡単で、同じやり方で広告を表示するようにするといい。

 ちょっと余談になるが、アプリを申請した際、認定されるまでの日数は、通常5日と記載されている。しかし、実際に申請してみると、早い場合で1日、遅くても2日では審査されている。これは、この原稿を書いている2013/07/23での時点の話だ。ただし、間にUS(米国)のお休みや祝祭日が入ると、その間は基本的には審査はされない(ただし、審査する審査員もいる)ので、3日ほど審査に要する場合もある。昔に比べると審査期間がものすごく短縮されている。ただし、それもアプリの内容に左右される。複雑なアプリを申請した場合は、当然、テストに時間がかかるため、審査期間も長くなると覚悟しておいた方がいい。通常のアプリの場合は、現時点では1~2日と考えておくといいだろう。なお、この記事が掲載されるころに、審査期間が長くなっていた場合はお許しいただきたい<m(__)m>。

 では、また次の記事でお会いしよう。

※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第6回~第10回)のみ表示しています。
 連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。

VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意
6. 極意6: ユーザーがWindowsストアからアプリを入手したとき、そのアプリは完全に機能しなければならない

「アプリは完全に機能しなければならない?!」ってどういう意味? 筆者の体験談から、マイクロソフトのテスターが「アプリが不完全だ」と判断する例と対処法を説明する。

VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意
7. 極意7: アプリは、キーボード、マウス、タッチで機能する必要がある

作成したアプリは、キーボードでもマウスでもタッチでも動く必要がある。この理由で申請をリジェクトされた場合の体験談と対処法を紹介する。

VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意
8. 【現在、表示中】≫ 極意8: アプリで広告を表示するために、説明、タイル、通知、アプリ バー、または端からのスワイプ操作を使ってはならない

収益を得るために広告を掲載する場合、何が良くて何がダメなのか。不合格になった認定レポートを紹介し、その対処方法を紹介する。

VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意
9. 極意9: アプリで提供されるプライマリ・エクスペリエンスはアプリ内で行われなければならない

Windowsストア・アプリからWeb上の情報を表示するために、Webブラウザーを開くと申請時にリジェクトされる?! その対象方法を紹介する。

VB開発者のためのWindowsストアアプリをリリースするための13の極意
10. 極意10: サポートしている全ての言語でアプリをローカライズしなければならない

日本語版のWindowsストア・アプリ上の表記に英単語があると申請時にリジェクトされる?! その対象方法を紹介する。

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