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Build Insider新コーナー開設

Sponsor ZONE Build Insider新コーナー開設

Sponsor ZONEとは?

2016年6月2日

エンジニア読者と製品・サービス提供者間の有益な情報交換を目指したPR情報スペース。

デジタルアドバンテージ 小川 誉久
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このBuild Insiderを運営している(株)デジタルアドバンテージは、コンピューター技術に関する記事をインターネットで公開することをなりわいとしている小さな小さな出版社です。

Web出版の大きな特徴は、紙の出版物と違い、読者から直接お金をいただくのが非常に難しいことです。私たちも、現時点では完全に企業からの売上に依存して活動しています。

経済環境厳しき中、企業がBuild Insiderに予算を割いてくれる理由は何でしょうか? 企業それぞれに違いがあるとはいえ、最終的には、企業が販売している製品やサービスの認知を広げて、より多くのユーザーにそれらを購入してもらい、売上と利益を増やすことです。利益を追求するのが企業ですから、これは当然のことでしょう。

しかし残念なことに、世の中全体のWebメディアを見渡すと、あまりに売り込みに熱中するあまり、読者をだまし討ちにするようなネット広告が増えていて、問題化しているのはご承知のとおりです。

30年前の苦い経験

いまから30年前、私は出版社でコンピューター関連の月刊雑誌を作っており、人気コーナーとして製品比較がありました。競合する製品を販売元から借りてきて、実際に編集部で試し、編集者の目で見た製品評価を記事にするというものです。

あるとき、Windows環境で使えるワードプロセッサーを評価することになりました。米国のMS-DOS環境向けとして非常に著名なワープロのWindows版が日本語にも対応して、国内向けにも販売されるということで、このパッケージも評価ラインアップに入れることにしました。

販売元に依頼してパッケージを拝借し、実際に手元のWindows環境にインストールして試用してみました。ところが結果はさんたんたるもので、カーソルが突然どこかにいってしまったり、文書の一部が真っ黒になったりと、到底実用で使えるレベルにありませんでした。

私はてっきり、開発途中のベータ版か何かだろうと思い、製品版がまだなら評価対象から外すか、欄外記事にして「製品版に期待しよう」くらいに紹介するのが妥当と考えました。

ところが販売元に確認すると、手元のパッケージは製品版で、店頭に並んでいるものと同じだと言います。当時の価格で5万円を超える製品だったと思います。私は驚いて、「これが本当に販売されているものだとすれば、とても読者には勧められない。記事はかなり厳しい内容になるものと覚悟してくれ」と担当者に告げると、驚いたことに担当者は「そこを何とかできませんか。他の雑誌はうまいことやってくれていますよ」と返されました。急ぎその掲載誌を確認してみると、確かに重大な欠陥にはこれっぽっちも触れずに、淡々と記事でそのワープロを紹介していました。

この製品はとても購入に値するレベルになかったので、私はこれを評価対象外とし、囲み記事内でこの製品の重大な問題のいくつかを指摘して、実用レベルにないことを読者にお知らせしました。

そんな致命的欠陥のあるアプリを、平然と紹介する雑誌があったのはなぜでしょうか。おそらくは、アプリの販売元から広告を売り上げていたのだと思います。幸か不幸か私の雑誌は、広告の入りが少ない、会社から見ればたいしてもうからない雑誌で、くだんのワープロ販売元から直接の広告売上はなかったので、ネガティブな情報もはばからず発信できました。しかしもし広告をもらっていたら、対応はそう簡単ではなかったろうと思います。

30年に及ぶ私の編集者人生で、ここまで露骨で極端な例は後にも先にもこれ1つでしたが、企業から広告売上をもらってメディアを運営する難しさを、端的に表す経験だと思います。

企業広告とWebメディアの関係

お金を頂戴している企業のマイナスになるような情報は書きづらい。売上をもっぱら企業からの広告に頼って、それを元手に活動しているWebメディアであれば、せいさつだつの権は完全に企業に握られることになります。

昨今は広告とうたわず、通常の編集記事を装って商品宣伝を行ったり、口コミサイトにサクラを紛れ込ませてお金で高評価を投稿させたりする、いわゆるステルスマーケティングなど、読者をだまし討ちにするような宣伝広告が問題となっているわけですが、これらの背景には、プロとしてWebメディアを運営するための構造的な問題があります。

もちろん読者をだますのは出版人として恥ずかしいことです。しかし現実には、企業からのお金にもっぱら頼りながら、どこまで読者優先を貫けるのかという根本的な問題があるのです。

Sponsor ZONEとは?

私たちがいるIT技術領域でも、製品・サービスを販売する企業が、広告宣伝の費用対効果を厳しく見るのは同様です。しかし使い捨ての消費財などとは違い、エンジニアを顧客として製品・サービスを提供する企業は、エンジニアと息長く良好な関係を築かなければ成長は望めないという特徴があります。

特に最近では、クラウドやモバイルデバイスを前提として、多くのIT関連製品、サービスが売り切りではない購読型ビジネスになっていることがこれを後押ししています。製品・サービスの提供元と顧客の関係は、販売時だけのものではなく、継続的な関係を前提として顧客の信頼を得なければ、継続的な売上に結び付かないからです。

またもう1つ。顧客(=読者)であるエンジニアは知的レベルも高く、ネット広告の裏側やら、私たちWebメディアの裏側やらにも精通していて、情報価値のない薄っぺらな広告や、売り手側都合の情報を一方的に押し付けるような広告をいくら作っても、誰も見向きしないということもあります。

従って「エンジニアに向けて自社の製品・サービスを知ってもらいたい」「コストに見合う価値を理解してほしい」と考える提供元企業は、最終的には自社製品・サービスの宣伝広告であったとしても、読者に関心を持って読んでもらえて、かつ役に立つ情報を記事にしなければ、読者に振り向いてさえもらえませんし、当然ながら長期的な信頼関係も築けないわけです。

このSponsor ZONEは、Build Insiderのサイト運営を支援していただいている企業が、自社製品・サービスの紹介を行えるPRスペースです。企業と協力・提携した記事、いわゆるタイアップ記事を展開していきます。

しかし記事制作に当たっては、記事の品質にBuild Insider編集部が深く関与し、一方的な売り口上ではなく、読者に対して情報価値を提供できるものを取りそろえていく場所にしていきます。

これまでに述べたとおり、ときに企業の都合と読者の価値は相反しますので、運営は簡単ではないでしょう。しかしBuild Insiderの活動に共感し、支援していただいている賛同企業(スポンサー企業)の皆さまとなら、それが可能だと考えました。

このSponsor ZONEに、製品・サービスの提供企業と読者の双方に価値のある情報を集約していけるよう努力してまいります。

Build Insider発行元
株式会社デジタルアドバンテージ代表取締役
小川誉久

小川誉久(おがわ よしひさ)

小川誉久(おがわ よしひさ)

(株)デジタルアドバンテージ代表取締役。

カシオ計算機でUNIX系システムの開発に3年間従事し、その後アスキー出版局に転職。書籍『プログラミングWindows』の編集を皮切りに、マイクロソフト系技術書の翻訳編集を手がける。1989年、月刊スーパーアスキーの創刊に参加。WindowsやPC/AT互換機に関する記事を担当した。2000年に独立してデジタルアドバンテージを創立。

現在は@ITでの情報サイト運営、Build Insiderの運営に加え、2010年からはGPSを活用した地図系スマートフォンアプリを多数開発、公開している。

 

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