Build Insider Survey【2017年1月実施】

Build Insider Survey【2017年1月実施】

開発者/Web制作者はどんなアウトプット手段を使っているのか? その頻度は?

2017年3月24日

Build Insiderが半年ごとに実施しているアンケート調査の結果レポート(前編)。今回の調査テーマは「ITエンジニアのアウトプット」。新技術に取り組む姿勢や、アウトプット手段/頻度についての調査結果を示し、簡単に考察する。さらに各エンジニアが大事にしているキーワードやアドバイスも紹介する。

デジタルアドバンテージ 一色 政彦
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 近年、ブログだけでなくGitHubやQiitaなど、開発者/Web制作者(本稿では「ITエンジニア」と呼称する)が手軽にアウトプットする手段が増えてきた。実際にITエンジニアは、それらの手段をどれくらい使って、どれくらいの頻度でアウトプットしているのだろうか?

 これを調査するため、Build Insiderではアンケート調査を実施した。質問テーマは以下の通り。本稿の内容が、ITエンジニアにとっての日々のインプットやアウトプットの参考になるとうれしい。

開発者/Web制作者の現状について ―― アウトプットの実情

新技術に取り組むタイミング(イノベーター理論における分類を自己判定)

 新技術にどれくらいのタイミングで取り組んでいるかを自己判定していただいた。その結果は、以下の通りだった。本サイトの読者であるITエンジニアは、特に「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」が多かった。本サイトでは、ユーザー数が多くて定着しそうな新しめの技術を取り扱うケースが比較的多いので、確かにマッチした結果になっていると思われる。

  • 16.7%: とにかく最新のものを試す(イノベーター)
  • 33.3%: 流行の可能性を感じたら (アーリーアダプター)
  • 30.6%: 一部の人々の間で人気が出たら (アーリーマジョリティ)
  • 12.0%: 周りの大多数が使い始めたら(レイトマジョリティ)
  • 7.4%: 流行はあえて追いかけない(ラガード)
新技術に取り組むタイミング[単一回答]
新技術に取り組むタイミング[単一回答]

 せっかくなので、年齢とのクロス集計をしてみた。すると、面白い結果が現れた。次の図を見ると、「若い人ほどイノベーターが多く、年を取るほどにアーリーアダプターやアーリーマジョリティが多くなっている」といえるだろう。

「新技術に取り組むタイミング」と「年齢層」とのクロス集計[いずれも単一回答]
「新技術に取り組むタイミング」と「年齢層」とのクロス集計[いずれも単一回答]

アウトプット手段

 次に、ITエンジニアはどのようなアウトプット手段を活用しているかを聞いた。20%を超えたのは、以下の5つだった。

  • 1何もアウトプットしていない
  • 2GitHub
  • 3勉強会/カンファレンスでの登壇
  • 4はてなブログ
  • 5ブログ(独自ドメイン)
アウトプット手段[複数回答可]
アウトプット手段[複数回答可]

「その他」の具体的な内容例: 「社内勉強会」「社内共有」「SNS」「OSDN」「独自ドメインではない、ブログサービスによるブログ」。

 「何もアウトプットしていない」という人が最も多かったわけだが、逆にいえば64.8%の人が何らかのアウトプットを行っているということで、「ITエンジニアは非常に勉強熱心で努力をずっと続けている」という事情を反映しているのだろう。アウトプットするには、それ相応の事前のインプット(つまり勉強や研究)が必要になる。もちろんIT業界は絶えず勉強や研究が必要ではあるのだが、「この結果は本当にすごいことだ」と思った。

 最も身近で手軽な「GitHub」へのアウトプットは2位(3人に1人)で、順当な結果だと思った。また、3位(26.9%)の「勉強会などへの登壇」も、最近では典型的なアウトプット手段になってきているということだろう(筆者が予想していたより多かったので驚いている)。その次が「ブログ」で、ブログを用意していない人の大半は「Qiita」を使っているようだ。「QAサイト」の書き込みは、最近ではあまり行われていないという結果になった(これは筆者の実感とも合致している)。

 まとめると、「GitHub」が最有力。その次に「登壇」や「ブログ」が有力なアウトプット先、ということになるだろう。ぜひアウトプットする際の参考にしてほしい。

 1つ前の質問の「新技術に取り組むタイミング」と、この「アウトプット手段」のクロス集計も行ってみた(次の図)。これも興味深い結果となった。

「新技術に取り組むタイミング」と「アウトプット手段」のクロス集計(順に[単一回答]、[複数回答可])
「新技術に取り組むタイミング」と「アウトプット手段」のクロス集計(順に[単一回答]、[複数回答可])

前述の「新技術に取り組むタイミング[単一回答]」は回答数の降順に並び替えていたが、このグラフでは並び替えておらず項目順のままになっているので注意してほしい。

 アウトプット手段として「雑誌やWebメディアでの執筆」を行うのは、「イノベーター」や「アーリーアダプター」が多いことが分かった(ちなみに本サイトでも随時受け付けているので興味があればお気軽にお問い合わせいただきたい)。また、「QAサイト」への書き込みも多いのが特徴的だ。

 また「登壇」に力を入れているのも、「イノベーター」や「アーリーアダプター」が多い傾向にある。

アウトプット頻度

 アウトプットする頻度としては、下記の4つが特に多かった。

  • 1最近はアウトプットしていない
  • 22カ月に1回以上(年6回以上)
  • 3月に1回以上(年12回以上)
  • 4年に1回以上
アウトプット頻度[単一回答]
アウトプット頻度[単一回答]

 これについても「新技術に取り組むタイミング」とクロス集計をしてみた。その結果が次の図だ。

「新技術に取り組むタイミング」と「アウトプット頻度」のクロス集計(いずれも[単一回答])
「新技術に取り組むタイミング」と「アウトプット頻度」のクロス集計(いずれも[単一回答])

 これを見ると、きれいにグラデーションがかったグラフとなっている。イノベーターほど頻繁にアウトプットしており、レイトマジョリティやラガードになるほど、アウトプット頻度が減っていっている。これも順当な結果といえるだろう。

座右の銘/キーワード/アドバイス

 今回のアンケートではおまけとして、他のITエンジニアが「インプットやアウトプットで何を大事にしているか」を調べるための質問も用意した。その結果、以下のようにさまざまな回答があった。以下では、同類の回答はできるだけまとめて読めるよう、4つにグルーピングした(ただし、あくまで筆者の独断で勝手に振り分けたものであるので、その点はご了承いただきたい)。

Q. 技術情報のインプットやアウトプットを行ううえで、大切にしている座右の銘/キーワード/アドバイスがあれば、書いてください。
【インプットする】(11件)
  • 自分が何を知らないのかを知る
  • あれもこれもと手を出さない(ある程度ジャンルなどを絞り込む)
  • 長く使えそうな技術を極力ピックアップしている。せっかく覚えても短命な物は、時間の浪費になるため
  • RSSベースの情報収集のため、はてなブックマークのブクマ数は波及の度合いの基準値として大切にしています
  • 利用したことない言語も流し読み、流しインプットするようにしている
  • 一次ソースの参照
  • サンプルは参考にするが信用はしない
  • 手を動かして確認できるものは実際に確認。それが難しいものは複数ソースで確認
  • うのみにしないこと。どうしてそうなるのか調べること
  • インプット:うのみにしない
  • trust but verify.
【アウトプットする】(9件)
  • アウトプットするときは、自分なりに新しい要素を最低1つは入れる
  • 伝えたいことを絞る
  • 例えば技術的な何かを紹介するときに、「それができるように作られたもの」について「それをするための手順」は紹介しない(他の人が紹介しているため)
  • 最初に「実現したいこと」があり、そのための手段・手法・困りごとなどを書くようにしている(内容が泥臭くなるが)
  • アウトプットでは用語を統一して読む人を混乱させないようにしています。また情報元のリンクは必ず載せています
  • アウトプット:細かく正確に分かり易くシンプルに
  • 分かりやすさ。画像やソースコードは結構重要
  • サンプルコードを載せる場合は、GitHubなどに動く状態のソースコードを置いて、誰でも再現・動作確認できるように心がけています
  • メンテナンスをいつでも、いつまでも続けられるとは限らないため、可能な限りメンテナンスフリーの形で公開するよう心掛けています
【モチベーション/積極性を高める】(7件)
  • 「困っているのは自分だけではない。自分が困ったことはきっと世界の誰かが困っているはず」
  • アウトプットは人のためならず
  • できるだけ、勉強会、セミナー、コミュニティに参加して情報収集を行うようにしています。新たな刺激があるので
  • 取りあえずやってみて、取りあえず発表してみる
  • 取りあえずやってみて結果を比較する
  • いつかやる!
  • やりたいことをやりたいようにやる
【モットーに従って行動する】(5件)
  • 「千里の道も一歩から」「ローマは一日にして成らず」
  • 破壊なくして創造なし
  • Social change starts with YOU!
  • 何者もディスらないこと
  • 完璧よりも早く出せ

 以上、繰り返しになるが、多くのITエンジニアの日々のインプットやアウトプットの際に、この結果が役立てば幸いだ。

回答者属性

年齢層

 年齢層は、前回(半年前)とそれほど大きな変化はないが、23歳までの学生層が6.3%、24~34歳の若手層が35.7%、35~44歳の中堅層が41%、45歳以上のベテラン層は17%となっている。

年齢層[単一回答]
年齢層[単一回答]

職業

 「業務アプリ開発者」と「Web開発者」が多い。これは前回とほぼ同じだが、「Web開発者」と「フロントエンドエンジニア/Webデザイナー」がそれぞれ5ポイントほど増えており、前回よりもWeb系の回答者が多かったようだ。

職業[複数回答可]
職業[複数回答可]

「その他」の具体的な内容例: 「フリー(2人)」「組み込みソフトエンジニア(2人)」「市販パッケージ開発」「新規事業開発」「アプリケーションの構成管理業務」「プログラム経験者」「サポートエンジニア」「トレーナー」。

プログラミング言語

 Webデザイン/開発で必須の「JavaScript」を使う人が60%を超えているのは当然として、「C#」も60%を超えて1位になっているのは、本サイトの特徴だろう。

 前回と比較すると、順位にほとんど変動はないものの、機械学習で最近話題の「Python」が6.8ポイント増えており、今後さらに上位に昇ってきそうな雰囲気となっている。

プログラミング言語[複数回答可]
プログラミング言語[複数回答可]

「その他」の具体的な内容例:「html」「VBScript」「VBA」「Dart」。

作業用マシン

 圧倒的に「Windows」を使う人が多い(前回とほぼ同じ)。

作業用マシン[複数回答可]
作業用マシン[複数回答可]

 次回のアンケート調査は未定だが、ぜひ次回のアンケート調査にご協力いただけると幸いだ。

※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第11回~第15回)のみ表示しています。
 連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。

11. 技術トレンド調査: Visual Studio Code登場で競争激化、さらに進んだクラウドへの移行

開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術やツールを、ランキング形式で発表。特に開発用テキストエディターの競争が激化して面白くなってきている。

12. 2016年、ReactがAngularを抜いて1番人気に! JSライブラリの利用意向はますます高まっている

Web制作者/開発者が「今後、使いたい」JavaScriptライブラリおよびWeb技術を、ランキング形式で発表。2016年度はこれらを押さえよう。

13. 2016年、人気の「開発技術&ツール」はどれ? HoloLensやXamarinの人気が爆発、Visual Studio Code躍進

開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術やツールを、ランキング形式で発表。2016年度後半はこれらに注目しよう。

14. 【現在、表示中】≫ 開発者/Web制作者はどんなアウトプット手段を使っているのか? その頻度は?

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15. 技術トレンド調査: AWSとAzureを猛追するGoogle Cloud Platform、徐々に人気を高めるReact NativeとApple Watch

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